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桜色の雨が降る (雲雀とツナ)




「わぁ…」

青空に一面の薄紅色の花びらが散りゆく。
その見事なコントラストにツナは思わず声を上げた。
隣に立つ、並盛中で最も恐ろしい男と畏れられる少年は半眼で桜とツナを交互に見て、目を伏せてから呟いた。

「…嫌いだ」
「え?」

彼は花見を好んでいた気がする、と言葉の意図が掴めずにツナは目を首を傾げる。
そして雲雀の顔をみて、ツナは納得したように微笑んだ。

「雲雀さん、群れるのが嫌なんですか?」
「うん」
「なら、桜は好きなんだと思ってました」
「…どうして」

だって、とツナは再び空を見上げる。
一陣の風が駆け抜けて、木々を揺らし花びらを振り撒いた。
雲雀は眉を顰め、しかし視線を放すことなく(何にだかは分からないが)耐える。

「誰かが言ってたんですけど『桜は咲いているときは群れている。けれど、散る時はひとりひとりばらばらなんだ』って」

雲雀は珍しく驚いた表情でツナを見た。

「桜、好きですか?」
「………嫌いじゃない」


またひとひら、はなびらがてのひらにふりおちた。







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