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世界は美しい (骸と雲雀)





厭わしく醜いのは世界かそれとも



「この世界すべてに息づくモノは汚く醜い」


そう思いませんか、ソファに座りなおしながら骸は言った。
床に転がる雲雀を見下しながら。
ひらひら、と
コンクリートとむき出しの鉄筋を圧倒するほどの鮮やかな桜がまたひとひら落ちる。


「すべてが脆弱で厭わしいと思いませんか」
「君が、そのひとつだという自覚はあるわけ?」
「えぇ、もちろん。僕はその汚い世界を更に血で染め上げてしまえばいいと思っていますよ」


「ばかみたい」

小さく雲雀は言った。
喉に溜まった赤が邪魔をしてうまく声にはならなかったが、骸は意外だと眉をひそめた。


「貴方は僕と同じように世界を拒んでいるのかと思っていましたが?」
「………」
「雲雀恭弥?」
「世界はいびつかもしれないけど確かにうつくしいよ。君はそれを認められないだけだ」



(かわいそうだね)



侮蔑と嘲けりを含んだその言葉は口にはせずに。











あきゅろす。
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