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くすんだ青は瞳を射抜く (了平と雲雀)



「これで、いいのか?」

ひろげられたシャツは夏の青空みたいに鮮やかで、けれどくすんでいた。

「うん。貰ってもいいの?」
「あぁ、前に着ていたんだが小さくなってしまってな」

おさがりで申し訳ないな、この時間じゃなければ店も開いているだろうに。
了平は時計をみやる。
午前四時過ぎ。明け方、ようやく空が白んできたころ。
町は静かに、まだ眠りのまま。安らかな安息をまどろんでいる。
ある一角を除いては。

事の発端は突然かかってきた風紀委員長からの電話。
「今から君の家に行くからいらないシャツを一枚用意しておいて。処分しても良い物、あるでしょ?じゃあ」
用件のみを告げて切れたなんとも傍若無人な電話にも呆れることなく、了平は言われたとおり適当なシャツを用意して待っていたわけだった。

「それにしても、雲雀。生活感無いとはおもっていたがお前シャツも持っていないのか?」
「…制服と襟のついているシャツ何枚かと、寝巻きくらいしかないね」
「そのシャツじゃ駄目なのか」
「…らしい」
「そうか」
「うん」

制服姿の雲雀は「じゃあもういくよ」と踵を返す。
了平は不思議そうに「どこに?」と訪ねた。

「面倒くさいとこ」

大丈夫学校始まるまでには終わらせる。
きっと剣呑な目をしているのだろう。
雲雀の声に混ざった不快感を感じながら了平は苦笑を漏らした。


(素直じゃない)





105話の扉ネタ。書いていて楽しかった。
雲雀さんは私服もってなさそうという友人Mの発言から。






あきゅろす。
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