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ひとつだけ嘘をついた



「なぁ、ひとつだけ、訊いていいか?」

さいごに、と空気を掠めるような男の声に女はただ頷くことで肯定の意を示す。その瞳は何よりもさめていて、硝子のナイフのようだった。

「今俺はここで死に逝くわけだが」
「………」
「お前は今でも、俺を、」
「愛の有無について?」

げほり、咳き込んだ男の変わりに女が答える。


「…私自ら手を下すことが、答えよ」





砂糖一粒ほどの愛を





あきゅろす。
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