意地悪なキミ 6. 学校までの道のり、いつもなら手を繋いで、色んな話をしながら歩いていたのに。 今日は綾斗が前を歩いて、俺が後ろ。どうしても、綾斗と俺には追い付けない距離があるんだな。 「恭、俺先生に呼ばれてんの忘れてたから、先行くわ!ごめんな」 俺を振り返らずに、走り去った綾斗。俺が気まずくさせてるんだよな。 「おっはよ!」 元気な声に振り返ると、同じクラスの平山がニヤニヤして立っていた。 「おはよって、お前もサボったのかよ。なにニヤついてんの」 「だってお前らケンカ中だろ?」 「ケンカ中?違うけど!」 「違うのかぁ。でも、手も繋いでなかったし、吉岡先行っちゃったみたいだけど?」 「平山、お前うざい」 「すまん」 ケンカ中...。 後で綾斗に謝ろう。 6時間目で、先生もいないとあって、皆好き勝手に騒いでいた。 綾斗を見ると、プリントを整理し終わったみたいで立ち上がり、教卓に向かった。 その瞬間、さっきまで騒いでいたクラス全員が、教卓に向かう綾斗を見つめた。綾斗はそれほど人気がある。 「今日は、文化祭の劇を決めたいと思っています。皆、なにしたい〜?」 「ラブストーリーがいいで〜す!」 「おっ、それいい!」 「いい!いい!」 クラスの大半がラブストーリー賛成派でラブストーリーに決定した。 「じゃあラブストーリーにするけど、なにするわけ?」 「「「ロミオとジュリエット」」」 「はぁ?誰がやんだよ」 「ジュリエットはもちろん綾斗!」 え〜!!!!! [*前へ][次へ#] [戻る] |