意地悪なキミ 12. 向井と別れてから何故か、もやもやしながら家の近くまで帰ってきた。何がこんなに気になってるのか、わからなかった。 ...あいつ、俺と方向違うのにわざわざ一緒に帰って、綾斗とのことを勘繰ってきて、学校の方に歩いて行ったよな...学校! 「綾斗!」 なんで気づかなかったんだ!ロミオ役に立候補したのも、わざわざ俺と一緒に帰ったのも、あいつ綾斗のこと...。 急いで学校に戻る。坂の上にある学校までひたすら走った。動悸が激しくなる。走ってるせいじゃない、綾斗を失いたくない、綾斗に離れていかれたら俺....。 二段とばしで階段を駆け上がり、教室が見えた。綾斗、綾斗! 「ぁあっ」 教室から聞こえた声。 聞き覚えのある声。 違う、違う、そんなわけない。 綾斗...じゃない。 「んぁっ...あっ」 冷や汗と震えがとまらない。嘘だろ。なぁ、綾斗お前じゃないよな。俺じゃない誰かに...綾斗。 ドアの前で立ち尽くしていた。 もう...どうなってもいい。目の前の光景が、絶望を連れて来る物であったとしても、これ以上堪えれない。 ガラッ 勢いよくドアを開け放った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |