[通常モード] [URL送信]

小説
ピンクのネクタイ事件後、翌日。被害者二名。    青年、言葉に窮す。
彼の上司は壮齢で服装も端々まで洗練され、どこをとっても知性に溢れていた。それ故に、総一郎は優慈にとって憧れる人であり目指すべく人であった。
「おはようございます」
出社した総一郎を迎えるため、優慈は席を立つ。
いつもなら、そこでコートを受け取るのだが、なぜか総一郎はなかなかコートを脱ごうとしない。むしろ、マフラーまでして厚着のような気もする。
「あの…?」
いぶかしんで総一郎を見つめるが、心なしかその表情は暗い。体調でも悪いのかと優慈が心配になったその時、総一郎はゆっくりと口を開いた。
「幾つになっても女性の心はわからんよ……」
ぽつりと呟かれた言葉に、優慈は言葉に詰まった。

   青年、言葉に窮す。


「ピ、ピンクのネクタイも斬新でいいですよね…っ!」


[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!