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虹色スコア
3話:投稿
そんなこんながあって、私は今、愛菜の家の前にいた。愛菜の家は洋風の家でとても大きい。初めて入ったときは緊張しすぎてしまっていたが、こうも頻繁にお邪魔していると慣れてしまうというものだ。
「はいはい、入った入った〜」
「うわっ、押さないで…っ!?」
強引に背中を押されながら愛菜の部屋へと向かう。愛菜の部屋には様々な楽器が置いてある。一番多いのはギターか。フォークからエレキまで揃っている。
私はいつも座っているソファに座った。正面には机を挟んで愛菜が座っている。
「で、今日はどうしたの?」
「あのねー、実は、この間聞かせた曲を動画サイトに投稿しようと思って。」
そう言って愛菜はノートパソコンを私の前に置き、隣に座った。
「投稿するの?」
「うん。どうせ曲作ったなら、たくさんの人に聞いてほしいと思って。」
「ああ、そういうことね。で、私が呼ばれた理由は?」
「最後に曲の確認してほしくてさぁ〜」
「なるほど。わかった」
「やった、ありがとう〜!!」
愛菜はパソコンをいじりはじめた。そして曲のファイルを開き、再生ボタンにカーソルをあてる。
「じゃあ流すから聞いてね?」
「はいはい。」
愛菜が再生ボタンをクリックする。するとギターの爽やかな音色が聞こえてきた。次にドラム、ベースととてもたくさんの音が響いてくる。しかし、こんなにたくさんの音が聞こえてくるのに、全然聞き苦しいとは思わない。そして歌が始まる。愛菜の声ではない、しかし、どこかで聞いたことのある声だ。とても伸びがよくスッと頭に入ったくるような声だ。曲ととても合っている。コーラスなども絶妙なタイミング、音程で入っている。前に聞いたときよりも数倍音が多いはずなのに、爽やかさが減るどころか増している気がする。どうしたらこんなにも素敵な曲が出来るのだろう…。
「どう!?」
聞き入っていたら、いつの間にか終わっていたようだ。
「愛菜、最高だよ!!」
「お!マジ!? 直すところとかない?」
「ないよ、完璧! …で、この歌ってる人って…?」
「あ、それはね、音声合成ソフトだよ〜」
「音声合成ソフト?」
「うん。たまに学校の昼放送のときに流れるよね」
「あ、確かに…」
だからどこかで聞いたことのある声だと思ったのか。
「このソフト使った方がたくさんの人に聞いてもらえると思ってさぁ〜」
「なるほど…」
「じゃあ、投稿するよ?」
「うん」
愛菜は動画サイトにログインすると、真っ先に投稿ページに行きさっき聞いた曲を参照する。そして動画の説明のところに短い曲の説明と、作詞曲:i7と書いた。
「…説明文はこれでよしっと。よし、いくよ?」
「…うん」
私は思わず息を呑む。そして愛菜が投稿ボタンをクリックした。


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