牧歌

『ねぇ、音楽やってんの?デビューしたらぁ?お姉さん応援しちゃうからぁ♪』

スナックFのカウンターで飲んでると、隣の30歳前後の、まだ幼いお嬢ちゃんが、酔って声をかけてきた。『』で始まる文は高等技術ですよ、などと小学校低学年で習ったのを思い出して多用している昨今だが、まぁ、どうでもいい話だ。

『駄目駄目、この男は詐欺だから。38だよ』

またママの勝美が、こっちも向かずに割り込んでくる。

『えっ……?!』

俺の周りの席の人間が、どっとのけ反って、カウンターが俺中心に割れる。気分は、モーゼの十戒である。
何かしなくちゃいけない。

勝美の眼光も『やれ。』と促してくる。そうだ、俺は酔っていた―。

俺は立ち上がり、遠くを指差しながら、静かに、しかし厳かに言い放った。

『我ら神の子孫は、苦難の末、約束の地・カナンを与えられるであろう―』



…大失敗であった。

俺の人生に色濃く残るであろう、消去しがたい恥辱の傷痕であった…。

ま、勝美と、エロ本編集長の磐井さんだけはバカウケしてたからいいや。

いいんだ俺はマニア向けで。一般ウケなんざいらないね。













ぼよよーんだo
 



あきゅろす。
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