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短編小説
注ぎ込む愛と甘受する愛3*
*R18性描写が含まれますのでご注意ください










「拓海」

少しの圧迫感と耳元で鳴る甘い響き。

目尻から頬へ、そして首へと落ちてゆくナニカ。


「ん………ぅん…」


「昼過ぎた。覚悟はいいな?」


カクゴ…?


「……んん……っ…は、……ぁふ…」


いきなり口内に侵入してきた生暖かいモノ。

まるで何かの生き物のように俺の口のナカを蠢き、裏顎を舐めあげ、強引に舌を絡めと……


「んぁあああああああっ!!」

俺の頭は完全に覚醒して目の前の頭を突き放した。


「あ、起きた」


え、起きたじゃないでしょ。え、何やってんの?何処触ってんの、フミ!?


と言いたかったが余りの衝撃に言葉が出ない。



「おはよう、拓海」

「…………」

「約束、覚えてる?」

「…………」

「昼過ぎたら犯すって言ったよな?」

「……言ってないっ!」


そこまでは言ってねーよ。


…………襲うって言ってたけど

「もう一時なんだけど。ずっと家で待ってたんだけど。ちょっと悲しいかな…俺でも。」


「……え、あ…ごめ」


「だから約束どおり、襲いにきたんだけど、どう?」


「………………」


どう?って何が?
男にマウントポジション取られてるの?恐いよ?


「重い」


てかなにげ手とか縛られてるし………

「大丈夫、優しくする」

会話通じないし

え、こいつマジ?


「……いや、いやいやいやいやえ、優しくってなに?文也くんは普段から十分優しいから、俺もうお腹一杯っ…」


「え、じゃあ優しくしなくてもいいわけ?」


「いやっ…優しくしてくださいっ……って…あれぇ!?」

誘導尋問!?
俺なんかいつの間にか処女を捧げる乙女みたいなこと言ってるけど


「拓海、大丈夫。どろどろに甘やかして何も考えれないようにしてやる」


「い、いやだ」

「恐い?」


「…………」


目が本気だコイツ


「ふ、フミはホモなの?」


「うん。拓海好き」


今告るんかい


「で、でも俺っ…」

「お話は終了。可愛い拓海の純情、奪うねごめんね」

え…えー……

「っ、遠慮しまんむ………ふ……………んぁ………っは……」



丁重にお断りしようと思って言葉にしようとする俺の息はフミの口の中に吸い込まれた。



何故かベッドに繋がれた腕をガンガンと引き寄せてみるがどうやら無理っぽい。

するとフミが俺の手首のみみず腫のようになった古傷をつぅーっとなぞった。


「拓海」

「…………なに」

「……なんでもない」


再び首もとに顔を埋めてすんすんと匂いを嗅ぎ出す。
俺は羞恥で目を瞑った。


「……フ…ミ……っ…」


はだけた長袖のジャージの隙間から侵入してきた手が感触を確かめるように這い回る。


俺が下に何も着ないことをフミは知っている。


例えば鎖骨の辺りから脇腹に伸びた線の跡とか、背中の火傷の跡とか、的確に触ってくるあたりどれだけ俺の着替えじろじろ見てたんだって言いたい。


ま、薄々気づいてたけど。

「……ん」


散々弄ったら次は舐められる。

もちろん初めての、その生々しい感触に一瞬ぞわっとする。


「…ふみ…」


そんな風に肌の感触を一通り確かめると今度はフミの手がとうとう中心に触れてくる。


「っ………ん…んっ…」


息を詰めたら腹筋が強ばる。
そして敏感になった腹部を舐められる。


「恐い?」


「…………」


目も合わせず聞いてくるのは俺がどんな答えを用意しようとやめる気はないという証。


そうして俺はフミの上手すぎる愛撫になされるがままだ。


「……んっ…」

やわやわと俺の息子を扱くフミの手で、案外嫌悪感が欠片もない俺は酷く興奮させられたらしくみるみるうちに硬く勃起していった。
暫くそうしてると恐れていたことが施行される。


奥にある絶対開いちゃいけないであろう場所に指が這ってきた。


くりくりと撫でられたあとつんつんとノックするように触られる。随分と性急な流れにこれから本当に犯されるのかな、と何処か他人事のように達観する。


嫌か、と問われればそりゃ嫌だ。
恐いし、よく分からないし、恥ずかしいし。


でも、駄目か、と問われれば俺は許してしまうんだろう。フミになら。


前にも後にもきっと、俺のなかで俺の英雄はフミだけだ。

気づいてくれるのも救ってくれるのも、導いてくれるのも、いつもフミだったから。


フミが欲しいってゆーんなら俺なんか、いくらでも差し出して惜しくない。


今更自尊心なんて、無い。



「拓海………?なに考えてんの」


「ん………なんにも、」


好きか?


うん、多分すき。



「拓海…力抜いて」

「……っ…ふ、……ぁ…」



いつの間にか涙が零れていたようで、フミがこめかみからなまじりへと舐めあげる。


「んん…ふぁ………ん」



もう一度深いキスをされてしゃくりあげるのと酸素を上手く取り込めないのとで苦しくなる。
ぼーっとする。


いつの間にか三本もの指が後孔に挿入されており、グリグリとかき回される感覚に慣れなくて圧迫感が襲う。

それでも俺は、フミを突き放すような言葉を吐けないで喘ぐ。



「…………たく、み…」



聞き取れるか聞き取れないかギリギリの、弱々しい音で呟かれた俺の名前にぼぅっとしていた焦点を合わせてフミを見た。


フミからは深い欲情の色が見てとれ、しかしまるで凶悪な犯罪を犯してしまった聖人が、良心の呵責に苦しめられるような、痛々しい色が共生していた。


この行為に少なからず罪悪感を感じているからだろうか?


……いや、それならあんなに余裕綽々とした態度で襲わないだろう。



じゃあ今、フミをこれほどまでに苦しめている思いはなんなのか。


原因は明らかに自分にあるとわかるし、俺はそれを取り除いてやりたいと思った。



「……好き………フミ、すき………っん…」


「……っ」



切れ長の、漆黒の瞳が僅かに見開かれ、そして苦しげだが薄く微笑んだ。きっとフミが求めていたものはこれなのだ。いつもフミに注ぎ込まれた愛を甘受するだけの俺から僅かでもいい、求愛が欲しかったのだろう。


その時だった。


「っんああぁっ………」


奥の、なにか一部分をフミの指が引っ掻いた瞬間、こらえようのない吐精感と何かが白くスパークしたような刺激が頭に刺さった。



「おまたせ」


フミが意味ありげにニヤリと微笑む。


嫌な予感が悪寒となってゾクリと背中を走った。


「ぇ…ちょ、まっぁああ」


そこばかり重点的に弄るようになった指に腹立たしい程に悶えた。


思考が全部持ってかれる。
苦悶と快感のまさに紙一重のライン上でのたうち回っている気分だ。



「や、やぁっ………おっ、ねが、ゃめっ………んあぁあ」


「やめてほしい?」


耳元で囁かれるのも、微かな吐息が耳を擽り、それでさえ快感を追う。



「やめっ………やめ、て………んんん…」


必死に声を押さえようとするのに上手くいかず、羞恥で真っ赤になった顔から涙が溢れている。


「本当に?」


麻薬のように頭を侵す甘い声に全身の神経が反応するようだ。


「っ………んん…っぅん」


俺は口を開くことができず全力で頭をこくこくと縦に振った。



「じゃ、力抜いて」


俺はなるべくお尻に力を入れないように努力したが、上手くやれたかどうかは甚だ疑問である。
てか、できてなかったと思う…………。



だがお願いどおり指が後孔から引き抜かれた。

俺は微妙な排泄感と何とも言えない喪失感に息を詰めながらも安堵した。


のも束の間、指よりはるかに質量感のある、熱をおびたモノが入り口にあてがわれた。



「っや!!まさかっ…」


グッ___と侵入してきたそれに、体がひきつり上体を思いきり弓なりにそらした。


「ぃ、あぁああぁああああっ」


一気に体を貫かれ、痛いのときもちいのと、恐いのと気持ちいのと。


悲鳴を上げないと死にそうだったその衝撃に、勿論腹筋に力が入る。
そうなれば後ろも締まるわけで…


「……っ、」


フミの眉間に皺が寄り、苦しげな表情で腰を掴む腕を強ばらせた。


「フミ、締めすぎ…」


「……っは、ぁ………んっ…は、……はっ」


俺は余裕が無さすぎて体をコントロールすることができない。


「力…抜いて」


「……っはぅ、……ぁ…」


「ちゃんと呼吸しろ、……拓海………ゆっくり吸え」

苦しくて俺はフミの言うように落ち着こうとする。


「っ…は、はぁ…ぁ…」


一度強ばった腹筋はなかなか解れてくれないが、それでも必死に力を抜こうと焦る。



「はぁ………ん…はぁ…」


呼吸がだんだん整ってきて、無意識に視界に入ったフミを眺める。


苦しそうではあるが、目は慈しみに溢れていて、完全に愛おしい者に向けるそれだ。


「拓海………拓海…」


譫言のように名前を呼ぶフミの少し歪んだ顔から汗の雫が一粒落ちて俺の頬に流れた。


瞬間、いきなりドクドクと俺のナカで脈打つフミのが勢いよく引き抜かれた。


「んっあああっ………」


息も詰まるほど激しく動き出したフミはもう止まらないようだ。



「いっや…ぁ…あぁあっ…ふ、ぁ…んあぅっ」


「拓海…た………み………ちて………ぃよ……」



小さな声で呟やかれた言葉は激しい律動に翻弄される俺には聞き取れなかった。



「ん…な…に、……フミ、なに?……っぁ」


「拓海」


「……?」




グッ___



より一層奥を貫かれ耐えきれない矯声が溢れたと同時にフミの顔がぐいっと近づいてきて、耳に唇が僅かに触れてきた。


「堕ちてこい」


近すぎて、喉の振動まで伝わってきて、震える、苦しい。
苦しい。



「堕ちてこいよ…拓海」



「アあぁああっ……!」


体がガタガタと異常に痙攣して俺は熱を吐き出し、少し遅れてお腹のナカに熱が広がった。


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あきゅろす。
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