shortshort
丸井とお揃いパンツ(庭球)
隣の席の女は、女じゃない。化粧もしてるし、どうやら香水もしてる。教師に怒られながらもネイルアートもしてるし、制服をカスタマイズもしてる。けど性格が女じゃない、絶対女じゃない。
「つかさ、仁王パンツ丸見えなんだけど」
運悪く前の方の席の仁王を指さして、由奈が笑う。確かに奴は腰パンだし、パンツくらい見えてもおかしくない。
「ピンクとかカワイー」
「お前もっと恥じらえば?」
俺が言うと、由奈は可愛くない顔で俺を見た。というか、俺の腰の辺りを見た。
「ブンちゃんは赤ですか、頭とお揃いじゃんウケる」
「つかパンツの色チェックとかなんなのお前、変態?」
「腰パンなんだから良いじゃん。別に脱がして確認してる訳でもないんだし、むしろ見せてんのブンちゃん達が!見せてるからには見てあげようって親切心だし、空気読めよ」
ていうかさっきっから仁王が恥じらってるんですけど、と由奈が喧嘩に発展しそうだった会話をあっけなく方向転換して、俺は仕方なく仁王を確認。
「あ、まじだ。あんなコマしてそうなくせにパンツカワイーって言われて照れるとかあいつどんだけ」
「そんなところもカワイーし、ブンちゃんも照れれば?」
「だからお前が恥じらえって」
「あーあ、ブンちゃんは可愛くないですねー。仁王なんてほら、ちょっと泣きそうな顔してて……煽られるわぁ」
「煽られるとかなにお前、変態も大概にしろよ」
「ブンちゃんこそ、物くれる人なら誰でも良いってゆー雑食の癖に」
「ばっか、物くれるのは第一条件だっつの。後はー、乳が柔らかいとかな」
「うっわ、超変態。乳の柔らかさとか触んないと分かんないし。とりあえず揉むわけ?」
「揉んでくださいと言われれば」
「つか童貞がよく言うよね」
つかなんで知ってんの。由奈は短いスカートを気にせず足を組み換え、机に置いてあったプリントで紙飛行機を折り始めた。
「処女に言われたくねーし」
由奈は返事を返さずに紙飛行機を折りきると、開け放った窓に放り投げた。
「試してみる?」
身体ごと振り向いた由奈が、意地の悪い笑顔を浮かべた。
(お前も赤じゃん)
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