[携帯モード] [URL送信]

身勝手なわたし10題(獄寺夢+10)
04 得意げに、手を差し伸べる

俺の長期休暇三日目。
その日はとても天気がよく、俺は名前と公園を散歩しに行った。


「天気いいね。」
「そうだな。」


隣を歩く名前はにこにこしていた。
俺が、ドキドキしながら名前の手を捕まえれば、名前は少し驚いたようにして、またすぐ微笑んだ。
指を絡めた。
いわゆる、恋人つなぎというやつ。
なんだかくすぐったかった。


「懐かしいね、こういうの。」
「そうだな。高校生以来じゃねぇか?」
「うん。たぶんそう。」


本当に楽しそうに笑いやがる。


「名前。」


楽しそうに周りをキョロキョロ見る名前をこっちに向かせた。
そのまま顔を近付けて、キスをした。
久しぶりだった。
離れがたくて、どんどん深くなっていった。
舌を入れて、名前の歯列をなぞる。


「…んっ。」


酸素が足りなくなったのか、名前が苦しそうに俺の胸を叩く。
しょうがないので離した。
俺と名前の間に、銀の糸がつながっていたと思えば、ぷつりと切れた。


「ばっ…か…っ。ここ、外…。」


涙目で訴える名前。
いつもの俺なら、外でこんなことしなかっただろう。
でも何故か、名前といると切なくて、止まらねぇんだよ。
何でだろうな。
俺が何か言おうとしたそのとき。


パコーン。


俺の頭にサッカーボールが間抜けな音を出して、見事に当たった。
俺はそのまま、しりもちをつく。
ちくしょう、油断したぜ…。


「すみませーん!大丈夫ですか?」


おそらく近くでサッカーをして遊んでいたのだろうガキ共が現れた。
文句の一つや二つ言ってやろうとして口を開けば、名前に両手で口を塞がれた。


「大丈夫。今度から気を付けてね。」


そんなことを言う名前。
俺に思いっきり当たってたじゃねぇか!
ガキ共はサッカーボールを抱え、去っていった。
名前は、俺の口を塞いでいた手をどけた。


「ごめんね、隼人。隼人が文句とか言って、喧嘩とかなったら大変だと思って…。」


申し訳なさそうに眉を寄せて言う名前を見てれば、なんだがもうどうでもいい気がした。
昔から俺は、なんだかんだ言ってコイツに弱ぇんだよな。


「大丈夫?」


そう言って、名前は
名前は背後から太陽に照らされていて、自ら発光しているかのように輝いていた。
眩しかった。



[*前へ]

5/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!