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身勝手なわたし10題(獄寺夢+10)
02 ひとりぼっちだからあなたを嫌う

俺の長期休暇二日目。
プロポーズに対しての彼女の返事に、


「そうか。」


なんてあっさり言った自分に自分で驚いた昨日。
渡しそびれた指輪の箱は、旅行バッグの中に戻した。
あきらめたつもりはない。


名前にメールした。
暇か?と聞けば、暇だ、と。
俺は、名前の家へ行くことにした。


さまざまなセキュリティーシステムを乗り越え、たどり着いた名前の住む一室。
呼び鈴を押せば、すぐに名前が出てきた。


「隼人!…ホントに、来てくれたんだね。」


心底ホッとしたように、名前は言った。
なんだか名前は何かに怯えていたようだった。
だから俺は、茶化して言った。


「俺が今まで嘘吐いたことあるかよ。」
「あるよ。嘘下手なくせに何回も。」
「てっめぇ…!」
「ふふ。さ、どうぞ。」


名前は俺を招き入れた。
そのまま中に入る。
よく片付いてるな、と思った。
ダイニングへ連れて行かれ、食卓の椅子に座らされた。


「今お昼持ってくるから、待ってて。」


そう言って、名前はキッチンに消えた。
そーいや、もうそんな時間か。
名前は、スパゲッティを持って戻ってきた。
ナポリタンだった。


「名前って…料理得意だったんだな。」
「失礼な!…まぁ独り暮らし始めてから、料理できるようになったんだけど。」


どうぞ、と言われ、いただきます、と手を合わせてナポリタンを口に入れた。


「…辛っ!」
「あ、やっぱり?間違って隼人のに唐辛子入れちゃったんだ。大丈夫かなって思ったけど、やっぱダメだったか。」


クスクス笑って言う名前。
なんだか変だ、凄く変だ。


「なあ…お前、俺のこと嫌いなのかよ…?」


愛だけちょうだい、と名前が言っているのにこの質問は矛盾している気がしたが、恐る恐る尋ねた。
名前は驚いたように少し目を見開いて、少し考えて、口を開いた。


。」


そう言った苦しそうな、哀しそうな名前の顔を見て、傷付いたとかそれよりも、愛しく思った。



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あきゅろす。
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