[鬼灯の冷徹]補佐の補佐
香りと薬
茄子「あー、終わったね〜」
唐瓜「相変わらずシャレ着多かったな」
茄子「そうだね〜」
衆合地獄の獄卒の洗い物を終えた茄子と唐瓜は報告のため閻魔殿に向かう。
タッタッタッタッ…
茄子「怜様〜!」
唐瓜「洗い物終わりました!!」
タッタッタッと怜のところにかけていく茄子と唐瓜。
貴「お疲れ様です。」
お香「お疲れ^^」
唐瓜「お、お香さん…!」
茄子「お香さんどうしたんですか〜?」
お香を見るなり頬を赤らめる唐瓜。
お香「頼んでたモノができたから貰いに来たのよ^^」
唐瓜「頼んでたモノ?…漢方薬ですか?」
貴「違いますよ。」
お香「これよ」
そういい手に持っていたビンを唐瓜たちに見せる。
唐瓜「香水?」
貴「はい。」
茄子「鬼灯様とかと一緒で漢方かと思った〜!」
貴「僕は漢方にも医学的なものにも興味ありません。」
そうなんですか〜と声を合わせる唐瓜と茄子。
お香「じゃあ私は仕事に戻りますね。いくらですか?」
お財布を手に聞く。
貴「お金はいいですよ、お香さんにはとてもお世話になってますから」
ニコッと微笑みいう怜。
お香「でも…忙しい中作ってもらったんですから…」
貴「いいんですよ、僕も香水作りは趣味みたいなものですから。」
お香「そうですか…ありがとうございます。」
ペコリと頭を下げいう。
貴「いえ、ではお仕事頑張ってください。」
お香「はい、怜様も無理せず体に気をつけてくださいね」
はい。という怜とヒラヒラと手を振り仕事に戻っていくお香をみていた唐瓜たち。
茄子「鬼灯様もだけど、怜様もお似合いだよな〜」
唐瓜「……そうだな」
半べそでいう唐瓜。
貴「お似合いだなんて、恐れ多いですよ。」
そう謙遜する怜。
茄子「あ、怜様!香水ってどうやって作るの??」
貴「香水といっても種類がありますからね…」
唐瓜「種類ですか?」
貴「はい。香りの種類です。花などをの香りや果実などの香り、他にも海の香りや葉巻の香りといったものもありますね。さらに匂い立ちといって時間の経過で香りが変わるものもありますからね。」
スラスラと説明していく怜とその説明を聞き入る唐瓜と茄子。
唐瓜「さっきお香さんにあげたのは何のかおりですか?」
貴「さっきのはイランイラン、マレー語で『花々の中の花』という意味を持つ花を使った、シングルフローラルタイプの香水です。」
茄子「シングルフローラル??」
聞きなれない言葉に戸惑いながら聞き返す。
貴「はい、先ほど言ったように香りには種類があります。シングルフローラルは1種の花をイメージした割としっかりした香りですね。」
唐瓜「そうなんですか!」
貴「楽しいですよ、香水作り。」
茄子「他にも香水あるんですか?」
貴「ありますよ、見てみますか?」
唐瓜「いいんですか?」
貴「いいですよ、行きましょう。」
そういい自室に向かう怜。唐瓜たちも怜についていく。
〜自室〜
茄子「あれ?ここって鬼灯様の部屋じゃなかったっけ〜?」
唐瓜「うん」
貴「僕と鬼灯さんは同じ部屋で生活してますよ。」
部屋の扉を見ていう唐瓜たちに平然という。
茄子「そうだったんですか〜」
へ〜。といい部屋を見渡す唐瓜と茄子。
茄子「あ、これも香水ですか?」
貴「そうですよ、それは沈丁花科の夏坊主またの名を鬼縛りという花を使った香水です。それはシプレータイプですね。」
茄子「鬼縛り!!」
貴「樹皮がとても固く鬼をもしばれると言われていたことからその名前が付いたらしいです。」
そう言いながら手に香水のボトルを持ち数滴茄子の腕につけてあげる。
茄子「いい匂い〜!!」
貴「そうですか、よかったら差し上げますよ。」
はい。と手に持っていたボトルを茄子にわたす。
茄子「わぁ〜!ありがとうございます!」
唐瓜「これはなんですか?」
茄子が喜んでいるのをよそに別の瓶を指差す唐瓜。
貴「それはオランジェロという果実の皮とライムの皮を使ったシトラス系の香水です。」
開けてみてください。と唐瓜の持っているボトルを指差す。
唐瓜「はい!」
ポンと音を立ててボトルを開ける。
茄子「みかんっぽい香り!」
貴「そうですね、シトラスタイプの香水は柑橘系の果実などを使うことが多いですから。」
唐瓜「いい香りですね〜…」
と和む唐瓜と茄子。
貴「では、唐瓜さんにはその香水をプレゼントしますよ。」
唐瓜「ホントですか!ありがとうございます!!」
いえ、と微笑む怜。
茄子「…ん?…怜様、これは?」
そういい見るからに古そうな小瓶を手に取り聞く。
貴「それは、昔もらった花で作ったものです。」
唐瓜「…あれ?匂いがないですよ?」
貴「まぁ、だいぶ時間も経ってますしもともと秋明菊という香りの弱い花で作った香水ですから」
と苦笑いをする怜。
茄子「なんでとってあるんですか?」
唐瓜「前の恋人にもらった花だったとか?」
貴「違いますよ、とくに意味はありません。」
ニコッと笑いいう怜の顔は少し寂しさをまとっていた。
唐瓜「そ、そうですか…」
それをなんとなく察した唐瓜。
貴「そろそろ、仕事に戻りましょうか。」
茄子「は〜い」
・
・
・
唐瓜「茄子、怜様のあの香水のことなんかさ…」
茄子「これ、いい匂いだな〜〜」
唐瓜の話の一切を無視し香水の香りを嗅ぐ茄子。
唐瓜「…はぁ…」
唐瓜も諦めてそれ以上は何も言わなかった。
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