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BL小説
◆背中を貸して/ちとくら



「俺達の全国大会…終わったばいね」


「せやな…けどみんな頑張ってくれた。心残りはないわ」


「……そうか」


心残りはない…俺もそう。
ばってん、俺は手塚に負けたたいね…。



「白石」



千歳は白石の背中に寄り掛かる。



「どないしたん千歳?」


「何も。ただこうしてたいだけたい。白石、背中貸してばい」


「もう借りとるやん」


「ん?そう言われたらそうたいね」


「千歳なんかおかしいで?どうしたんや?」


「全国大会終わったなって思ったら気が抜けたっていうか…」



うまく言葉に出来ずに千歳は上を向く。



「終わった言うても俺達にはまだ高校があるやろ」


「白石?」


「中学での全国は終わってもまだ高校がある。次は高校で全国目指すんや。な?」


「…そうたいね。まだ次があるか」


「……あ」



次は高校がある。


そう言ってしまって白石はふと不安が募った。




高校。




千歳は…。





まだ大阪に居るんやろうか…。



「千歳……自分は、まだ…」




ここに…俺の側に居てくれるんか…?




「……」



そう言いたくて。


でも言えなくて、言葉に詰まった。




「白石」



「あ……」



白石は背中から千歳に抱きしめられる。



「ち、千歳」




「大丈夫ばい」




「え…?」


「俺はずっとここに居るけん。白石の側を離れるなんてせんたいね」



千歳は少しだけ白石を強く抱きしめる。




なんで千歳は…俺が思ったことわかるんやろ。




けれど、千歳に言われた言葉は素直に嬉しくて…。





「…ありがとう千歳」





そう小さく呟やいていた。








お題:『背中を貸して』

END

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