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pkmn+α
1.5



その細い腕に惹かれたのは偶然か、必然か知れないけれど――。



天気のよい日を選んでか、近くの町から時折ロコンと共にこの丘へと散歩にやってくるニンゲンの少女。足元を跳ねるように、じゃれつくように歩くロコンと楽しげに。道端に咲く小さな花に足を止め、木漏れ日に目を細め、たまに両の腕へロコンを抱き上げて。
バトルに挑む真剣な横顔。それに応えるロコンとの間には確かな信頼が見て取れ、共に在ることに誇らしさと幸福感を持っているようだった。
それははもんポケモンとして感情の波を見分けることの出来る自分にはとても眩しく映るもので――仲の良さが伝わってくる様子を見ているうち、どうしてか燻るような感情が胸に芽生えたように思う。
マスターを持たないポケモンであることが寂しいと、その温かそうな腕に触れてみたいと、渇望にも似た想いがいつしか生まれていた。


だから、その日に限って天候が崩れたことも、ロコンにとって相性の悪いコダックに彼女たちが襲われたことも、そこに居合わせることが出来たのも――運命と信じたい。

水流に弾かれ地面に転がったロコンへと、彼女は迷いなく駆け寄った。自分の身も顧みず、ただパートナーのロコンを案じて。
華奢な腕を。強い心を。泥にまみれてもきれいな彼女を。
守りたいと、強く思った。
内側に生まれたその感情に突き動かされるがまま茂みを飛び出し、彼女に水の刃を放とうとするコダックを蹴り飛ばした。



熱くなる心臓



守るべきものを背に抱えた今、何者が相手でも負けはしないと思った――。






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