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pkmn+α
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「…本当にありがとう。ロコンを助けられたのも、無事に街まで帰って来れたのも、リオル、あなたのお陰だよ」

リオルが飛び出してくる野生のポケモンたちを相手してくれたから、最短距離で草むらを抜けて街に戻ることが叶った。真っ先に駆け込んだポケモンセンターでロコンを治療してもらい、元気になった彼を腕に抱きしめたところで漸く平静を取り戻したわたしは、お世話になったジョーイさんにお礼を告げて別れた後、エントランスでリオルに深々と頭を下げる。
幼い頃からずっと傍らにいてくれた、そして今も腕の中にある温もりを失わずに済んだ。
それは本当にどれだけ言葉にしても足りないぐらいで――もう一度感謝を言いかけたわたしだったが、リオルは勢いよく首を振りそれ以上を声にさせてくれない。じっと見上げてくる紅玉の眸は少し戸惑っているみたいで、気にするなと言ってるよう。
「でも…」
すごく助けられたのに、わたしが何か返せることってないだろうか。
「…………あ、そうだ」
わたしは思い付いたお礼にぱっと表情が綻ぶのを感じる。不思議そうにきょとんとまばたくリオルへと笑いかけ、言った。
「ご飯、一緒に食べていかない?」

外は陽がそろそろ沈みかけていて、リオルはここまで戦って守ってくれたから。
疲れを癒してお腹いっぱいになってくれればと。




満たすもの



良い考えなんじゃないかなと思えて、何を作れば喜んでもらえるかと自分のレパートリーを頭に浮かべていたわたしは気が付かなかった。

腕の中のロコンと複雑な感情を双眸に過らせたリオルが互いに牽制するような視線を交わしていたのを――。







『…助けてくれたのは感謝するけどね、いくらメイが世間知らずのお人好しでもあんまり馴れ馴れしくしないでよ』
『……そんなつもりは、ない』
『どうだかね』









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