FunnyShortStory 来良組とヨシヨシ 「…おー」 「これは、何ていうか…」 「「食べにくい」」 「かわいいです…」 三者で二つに分かれた反応に、蓋を開けてみせた三好は微笑んだ。 かわいらしいパステルカラーの箱から出てきたのは、更にかわいらしいドーナツたちだった。 グレーズの白に茶の斑、ぴんと立った耳も微笑ましい三毛猫。マンゴーの黄色に凛々しい縞が入った虎。クランベリーのピンクが愛らしい豚。まあるい体につぶらな瞳のどうぶつ達が、覗き込む人間たちを誘っている。 「これ、どうしたんだよヨシヨシ」 「狩沢さんと遊馬崎さんに貰ったんだ。たくさん買いすぎちゃったんだって」 「何やってんだ、あの人たち…」 呆れた調子の正臣に、三好はゆるやかに小首を傾げてみせた。 「でも美味しかったよ。園原さん、クランベリーおすすめ」 「あ、ありがとうございます。いただきますね」 「うん。紀田くんと竜ヶ峰くんもどうぞ」 「おぅ。んじゃ俺は虎貰うか」 「…それじゃあ、僕は豚貰おうかな…」 「せめて杏里と同じものが味わいたいってか。ささやか過ぎて泣けるな…」 「何その言い掛かり!?」 「怒ると図星って認めてるようなもんだぞ、帝人ー」 「呆れてるんだよ!」 掛け合いを始めてしまった正臣と帝人を少し困ったように眺めた後、杏里は三好を見つめた。箱に残ったドーナツは一つ。 「…三好君、猫ですね」 「うん。このドーナツね、耳のとこアーモンドで作られてて美味しいんだよ」 最後の一つを手に取ってさっそく口に運ぶ三好は笑顔で。ぱくっとかじられた猫の顔に、正臣と帝人が思わず呟いた。 「「共食い…」」 こねこのすきな あまいもの (にゃんこドーナツかわいかった、ってだけのお話) [戻る] |