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FunnyShortStory
トムさんとヨシヨシと静雄さん




「「トムさん」」
聞き馴染んだ声が重なって呼ぶ声に、田中トムは足を止めると振り返った。
後輩の青年と、その後輩の少年が笑顔を浮かべて寄ってくるのが見え、トムは片手を上げて迎える。
仕事がオフの静雄と学校が休みの三好。そんな日にも一緒に過ごしているのだから仲が良いもんだよなと、微笑ましいような微妙なような気分が芽生えたりもしたのだが。

「トムさん、いつもお世話になってます」
笑顔で、ぺこりと頭を下げた三好がシンプルだが趣味のいいデザインの封筒を差し出す。
「…俺にか?」
訝しげに頭を掻くトムに三好と静雄は揃って頷いてみせた。首を捻りながらも促されたように感じてトムは封筒の中から折り畳まれた紙を取り出し―――もの凄く微妙な表情を浮かべた。
それはとっても手作り感と真心がこもった、
「……………肩叩き券?」
「日頃からトムさんには何かと迷惑かけてるんで」
「僕たちで精一杯疲れをとるお手伝いができたらと」
純粋な、きらきらした四つの目に見つめられ、トムの目が遠くなる。
――ああ、そういや今日は父の日だったっけか。肩叩き券とかまた懐かしいもんを……いや、そもそも俺は静雄の父親でも三好の父親でもないんだがなあ。だいたい年だってそこまで離れてないんだし…………っつーか三好はともかく、
「…静雄に叩かれたら俺の肩、砕けるだろーがよ」








2012.06.17
父の日ネタ。



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