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大好きだけど大嫌い!(静雄さんと)




「…や、…ちょっと…待ってくださ……っ!」
痛みに震える身体は力が入らず、三好はどうにか静雄を押し留めようと訴えかけた。
一点から広がる痛みは全身を支配し、三好を苛んでいる。
「むりです…っ、うごかさないで…」
堪えるように寄せられた眉。うっすらと涙を浮かべた双眸。ふるふると小さく頭を振りながら紡がれる言葉は辿々しく―――静雄は動きを止めた。
脆い理性の糸が焼き切れそうになるのを感じながら、どうにか依り合わせて静雄は三好の細い腕を自分の肩にかけさせる。引かれる形になる、その少しの動きが身体の末端まで衝撃を走らせ、三好は息を詰めた。
そんな今の三好の状態は静雄のせいであり、それをどうにかしてやりたい気持ちも静雄の本心ではある。
「…少しだけ、我慢してくれ」
「…だ、だめです……まだむり……っ」
潤む瞳が近い。奥に怯えにも似たものを滲ませたそれに妙な欲を覚えながら、静雄は三好の膝裏を掴んだ手に力を込める。
「…………ッッ!!」
――三好の喉から、声にならない悲鳴が発せられた。



丸めた指先にも力の入っていない拳が静雄の胸を叩く。くすぐったさしか感じないそれと肩口に顔を埋める三好の熱に、困った顔で固まる静雄を泣き出しそうな声が詰る。
「な、なんで…待ってくれないんです、か」
「いや、でもよ…俺に膝枕してくれたせいだろ、お前が立てなくなったの。床に座りっぱなしじゃ冷えるだろうが」
二時間座り込んでいたのに、今更だ。
なかなか抜けない、足先から広がるびりびりとした痺れを生み出す痛み。そっとしておいてくれるのが一番なのに、へたり込んでいるところを持ち上げられては堪らなかった。浮いた足がぶらぶら揺れると、痛みが全身を支配する。
「…今は、動かないでください」
すぐ近く、耳元に落とされる小さな懇願と抱え込んだ三好の震える身体に昂るものを抑えつつ、静雄は立ち尽くすしかなかった――。



「…三好、ソファーに…」
「これ以上うごかすなら、きらいになります」
「―――ッ!!」








「…………ッッ」
「…静雄さん?」
「…………………」
「あの…冗談です、よ?」
「………嫌いに……」
「なったりしないです」
「三好…ッ」
「いたいいたいいたいっ、おちついてくださいー!」






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