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小説
第3話 「始まりの終わり」
魔法少女リリカルなのはWars
第3話 「始まりの終わり」

ヴィレイサーは今、海上にある島の内部のある1室に正座していた。

そして、彼の前には1人の女性がいた。

体躯は本当にバランスのいいもので、アイドル業でもやっていけそうなものだ。

髪は薄い紫色で、真紅の瞳の奥には怒りがみてとれた。

それもそのはずで、彼女、リュウビ・T・キリシマはヴィレイサーに対して怒っているのだ。

「新型の奪取を許した上、追撃を阻止した相手を倒せずにノコノコ帰ってくるとはねぇ。」

「返す御言葉もありません・・・。」

「ハァー、まぁもういいけど。
 そのかわり、『例の武器』を試してくれる?」

「ま、またか。 まぁ別にいつものことだからいいけど。」

これがリュウビの悪い所だ。

彼女は武器を造るのが好きで、造ってはヴィレイサーに使わせているのだ。

「今度のは何だ? また刀類か?」

ちなみに、彼女の造る武器はどれも高性能で、
ヴィレイサーも愛用しているのがいくつかあるほどだ。

「ううん。 今回はバズーカよ。」

サラっと笑顔で言うな。

「んな物騒な・・・。」

「大丈夫よ。 ちゃんと調整できるし。
 エターナルがそこら辺やってくれるでしょ?」

「そりゃあそうだけど。」

と、そこに1人の青年がやってきた。


「ヴィレイサー、次の任務だぞ。」

彼の名はデュアリス・F・セイバー。

髪は短く、綺麗にまとめてある金髪で、瞳は薄い翠色をたたえていた。

体躯はしっかりとしていて、身長はヴィレイサーほどでは無いものの、高い部類に入る。

「場所はエテレニア荒原の郊外。
 創世主軍の人数は最低で3人だな。」

「了解。 すぐ行く。」

と、急いだ。

後ろでリュウビが「バズーカはぁ?」と喚いていたがとりあえず無視。


・エテレニア荒原


Side:創世主軍

「ザイアのやつ、『あの堕天使』がいるだなんて
 言いやがって、本当だろうなぁ。」

「そうぼやくなよ、ガイズ。 ザイアには、借りがあるんだしよ。
 それに、俺ら第6師団がそいつを落とせば、評価がうなぎ上りだぜ?」

「ガジョウの言うとおりだよ。 それに、ラギたちは今動けないし。
 他の師団には、伝えられてないって、隊長が言ってたじゃん。
 好機だよ、好機♪」

「楽しそうだな。 ミリ。」

「そりゃあもちろん。
 私、破壊と殺戮ってだ〜い好き♪」

「エゲツねぇなぁ。 まぁ、その気持ちは分からなくも無いけどな。」

「ガイズ、ミリ、行くぞ。」

そして、3人は街への攻撃を開始した。

Side:創世主軍 了




Side:ザフィーラ

「むっ? シャマル、アンノウンが動き出したようだ。」

「了解。 でも、先に街の人達を避難させておいて良かったわね。」

「そうだな。 主たちはあと何分ほどで到着する?」

「だいたい、20分ぐらいね。」

「そうか。
 ん? 市長、どうかされましたか?」

「大変です! まだ市街地に数人取り残されているそうなのです!」

「っ! まずいな。 アンノウンの攻撃が開始されている。」

「ど、どうするの! ザフィーラ?」

「くっ。 シャマルは主たちに伝えてくれ。
 私がアンノウンよりも先に取り残された人達を見つけ出す。」

「わかったわ。 気をつけてね。」

「あぁ!」

(間に合ってくれ。)

Side:ザフィーラ 了




Side:ミリ

「アハハッ、どんどん壊れていくよ。
 もうたまんない!」

あたしたち3人は簡単に市街地を破壊していく。

ただ残念なのは、ここに住む人間どもがいない事だ。

先に避難でもしたのだろうか?

「でも、ホントはつまんないよ。
 少しは人間が逃げ惑う奴がいた方がたのしいよぉー。」

「そう言うなよ。ミリ。」

「だぁってぇ〜。
 ん? 生態反応がいくつかある。
 ラッキー。ねぇ、ガジョウ、殺しちゃっていいよね?」

「あぁ? まぁ別にいいけど。」

「それじゃ、ちゃっちゃと殺しちゃうね♪」

あたしは、加速して怯えている人間どもを殺そうと、右手にあるライフルの引き金を引いた。

その弾丸があたる。 そう思った瞬間、黒い影があたしの射撃を遮った。

「っ! あんたは・・・。」

あたしは射撃を遮った相手を睨みつけた。


「ヴィレイサー・セウリオン!」

Side:ミリ 了


「よく知ってるねぇ。」

「そりゃそうよ。
 『聖なる堕天使』さん。」

それを聞いて、
(母さんたちも、よくこんなだいそれた名前を俺に冠したよな。)

ヴィレイサーはそんな事を考えていた。

「でも、話す事はもうないし、死んでいいよ。
 あたしたちのためにね!」

ミリはすかさずライフルを撃ち放った。

ヴィレイサーはそれを簡単にかわし、太刀を引き抜いて肉薄した。

「そらぁっ!」

「チィッ。」

ミリはそれを右によけ、ライフルを取り残された民間人に向け、放とうとした。

しかし、ライフルを持っていたミリの右手は、肘から先が無くなっていた。

否、厳密に言えば斬られたのだ。

「えっ?」

驚いたミリは何が起こったかわからないまま、更に胸部を深く斬り裂かれた。

「う、嘘・・でしょう・・・。」

「何だ。 他愛も無いないな。
 っと、油断していると痛い目を見るからな。
 気を引き締めて残りを片付けるか。」

ヴィレイサーはいとも簡単にミリを殺し、空中にいる残り2名を見据えた。

「デュアリスの話じゃあ、既に管理局のやつらが動き出しているらしいからな。
 手早く仕留めるぞ、エターナル。」

[Yes,Leader.]


Side:ザフィーラ

「ご無事ですか?」

ザフィーラが取り残された民間人を発見した時、彼らは結界によって守られていた。

「ハ、ハイ。 管理局の魔導師の方が、助けがくるまでここでじっとしているようにと。」

その言葉に、ザフィーラは眉をひそめた。

(管理局の魔導師?
 確かクロノ提督は、我々以外には指示を出していないと仰っていたが。)

「ザフィーラっ。」

とその時、シグナムが到着した。

「シグナム。
 この先にまだアンノウンの部隊がいるようだが、
 その他に管理局の魔導師を名乗っている者がいるらしい。」

「何? わかった。
 この先には、我々が行く。
 ザフィーラは彼らを安全な所まで運んでくれ。」

「心得た。」

シグナムたちに任せ、ザフィーラは民間人を避難させ始めた。

Side:ザフィーラ 了


「ぐはっ。」

「これで残るはお前1人だな。」

ヴィレイサーはガイズから刺した太刀を引き抜きながら言った。

「想像以上の強さだな。」

ガジョウは仲間がやられたにも関わらず、いたって冷静に考えていた。

(そろそろ管理局のやつらがここに到着する頃だな。
 その時に、コイツがどう動くかが問題だな。)

「どうした? 来ないなら、こちらから行くぞ。」

ヴィレイサーは太刀を背面に振りかぶりながら、魔力を高めた。


Side:なのは

「シグナムさん、この先に管理局を名乗る人がいるって本当ですか?」

「あぁ、ザフィーラの話ではな。」

「そうですか。」

なのははその話を聞いて、ある人物を思い浮かべた。

以前助け出してくれた、漆黒の魔導師だ。

(会えるかな?)

「ん、見えてきたよ。」

フェイトの声に、なのはは我に返った。

(考えてても仕方ないよね。 今はこの事件を何とかする方が先だよね。)

Side:なのは 了


ガキィン ガン ズガァッ

「やるな、お前。」

「ガジョウだ。 名乗ったからには覚えてもらうぞ。」

「別にいいけど、殺した後に忘れても文句は言うなよ?。」

「フッ、さすがにいつまでも敵対する者の名を引きずる奴はいまい。
 ん? 来たか。」


「っ! ちっ、管理局か。」

ヴィレイサーは苦々しげに言った。

ガジョウはその隙を見逃さなかった。

「もらったぁ。」

一気に肉薄し、小刀を上下左右に連続して斬りかかってきた。

「うぉっ。」

ヴィレイサーは何とかそれを紙一重でよけ、あるいは受け止めたり、受け流したりした。

最後の一刀を受け止めた時、ガジョウが言った。

「いい加減、俺らの邪魔をしないでくれないか。」

「犯罪者に加担するなんて、絶対に御免だね。」

「だろうな。
 だが、貴様は地球出身だろう?
 そんなやつが無許可にデバイスを使用するというのも、犯罪であろう。」

「ガジョウとか言ったか? どういうつもりだ?
 まさか、管理局のやつらに俺が地球出身者だと暴露して、俺を動きづらくさせる気か?」

「あぁ、そうさ。 お前を殺せないのなら、そうするしかないからな。」

「馬鹿馬鹿しいな。」

それを言い終えると、ヴィレイサーは太刀に集中させていた電撃の魔力を付与し、
ガジョウ斬った。

「襲爪雷斬(しゅうそうらいざん)。」

ガジョウは悲鳴をあげることなく消えていった。


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