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小説
第2話 「戦いの火蓋」
魔法少女リリカルなのはWars
第2話 「戦いの火蓋」

「標的を確認。 これより排除行動を開始する。」


Side:なのは

(だ、誰だろう・・・?)

フェイトちゃんと敵の女性の間に、漆黒のバリア・ジャケットを装備した、
1人の男性の魔導師が割って入ってきた。

私たちと同じぐらいの年齢みたい。

(とりあえず、敵、じゃあないよね・・・。)

Side:なのは 了


「はぁっー!」

ヴィレイサーは、太刀を大きく振り上げ、
それをセナへとなんのためらいもなく、一気に振り下ろした。

「くぅっ。」

それをセナは紙一重でかわした。

ブンと風を切る音がした後、地面が砕ける。

セナはかわしながら上に跳躍しつつ、MSの胸部に施されたバルカンで攻撃した。

しかし、ヴィレイサーへのその攻撃は、見えない障壁に阻まれたように弾けて消えた。

そしてヴィレイサーはすかさず攻撃に転じ、ライフルを放つ。

セナはそれを移動魔法でよけ、着地。

しかしヴィレイサーはそこにも攻撃を放った。

「コイツっ!」

セナは徐々になのは達から距離を取らざるを得なくなっていった。


Side:ラギ

「チィッ。 アイツ何者だ?」

突如現れた漆黒の魔導師、不意打ちとは言え、あそこまでセナを簡単に追い詰めるとは。

「とりあえず、とっとと逃げた方がいいな。
 リグル!」

ここは3人で一気に畳み掛けて倒せなくても逃げる。

ラギとリグルは密かに合流し、ヴィレイサーを追い詰めようとしていた。

Side:ラギ 了


ガキィンッ

「くそっ。 どうして私がこうも簡単にぃ。」

ヴィレイサーとセナは剣と剣を交えていた。

(このままだとマズイ。)

セナは焦りを感じ始めていた。
と、その時ラギから思念通話が入ってきた。

[セナっ!] [っ!]

セナは剣戟を止め、飛び退いた。


「何?
 っ! 後ろか。」

ヴィレイサーはすぐに後ろを向いた。

ラギが攻撃してくると思いきや、彼は左に飛び退き、
その後ろに控えていたリグルが胸部にある砲を放ってきた。

「くぅっ。」

ヴィレイサーはそれをすんでの所で右によけた。 しかし、

[Over your head.(頭上です。 リーダー。)]

彼のデバイス、エターナル・デイブレイクが警告する。

その瞬間、ヴィレイサーの頭上にラギがマギリング・クローを展開した状態で
一気に降下してきた。

「そらぁっー。」

だが、愛機(デバイス)の警告を受けたため、それを紙一重でかわす。

無論、ラギは追撃すべくライフルを放った。

「くそぉ。」

ヴィレイサーはそれを防御する。

が、[It is your rear.(今度は後ろです。)]

「せわしないねぇっ。」

後ろからサーベルで攻撃を仕掛けてきたのはセナだった。


「落ちろぉっー。」

ヴィレイサーはそれに対し、左手で逆手に持った小刀で受け止めた。

「いい加減!」

しかし、ラギとリグルはセナの後方に周り込み、援護をしてくる。

「くっ。さすがに分が悪いか・・・。」

敵からの砲火をかわしているのに、ヴィレイサーは手一杯になっていた。


「頃合だな。 撤退するぞ。」

「オウッ。」 「ハイッ。」

ラギの言葉に、リグルとセナが応じ、すかさず撤退を開始した。


「しまった! このまま逃がす訳にはいかない。
 追撃、行けるか? エターナル」

[No problem.]

「よし、行くぞ。」

(建物はかなりの被害が出ているが、
 魔導師には、死者はいないようだな。)

ヴィレイサーは周辺を軽く確認した後、敵が逃走した方角に向かった。


Side:ザイア

「隊長。 ラギら3名、こちらに到着しました。」

「そうか。 俺はここで追撃してくる魔導師を討つ。
 その間にポイントS326にまで行け。 そこで合流する。」

「了解しました。 ご武運を。」

そこで通信を終え、彼は向かってくる敵に視線を向ける。


彼の名はザイア。 創世主軍の第5師団師団長だ。

今回の第5師団の任務は、新型のMSデバイスを奪取することだったのだが、
いかんせん、近くに魔導師が何名かいたため、逃走が遅れてしまったのだ。

「やれやれ。 よりによって、追撃してきたのが君とはね。」

彼は肩を竦めながら、溜息をついた。

Side:ザイア 了


「お前は、俺のことを知っているのか?」

ヴィレイサーは待機していた男(ザイア)に聞いた。

「そりゃあもちろん。
 我々、創世主軍の者を次々と倒していっているのは君だろう?
 『聖なる堕天使』の名をそのまま冠している青年。
 我が軍では、かなり有名だよ。」

「有名すぎるのも考え物だな。」

「そうだね。」

「話はそれだけか?
 なら、一気にいくぞっ。」

言い終えるや否や、ヴィレイサーは太刀を抜刀し、ザイアに斬り掛かった。

「チッ。」

ザイアはそれをヒラリとかわし、背部にあるガン・バレルを展開し、砲火を浴びせてきた。

「これはっ、サイコミュか。」

ヴィレイサーは幾重もの火線をくぐり抜け、ザイアに肉薄した。

「何っ!?」

「墜牙斬(ついがざん)。」

ヴィレイサーはザイアの胸部を彼の左肩上部から斜めに斬り下ろし、
そのまま後ろへと周り込んだ。

「浅かったか。」

その事を瞬時に見抜き、次の技を出そうと振り向いたが、
ガン・バレルの集中砲火が迫っていた。

「ウォッ。
 やっぱり、エターナルからの指示なしじゃあさすがに難しいか。
 『あの時』と変わらず、情けない。」

[そんな事は無いと思いますが。
 『あの時』と比べ、かなり良くなったと
 『隊長』も『母上』も『姉上』も、喜ぶでしょう。]

「言われたかったな。 そういう事。
 『今じゃあ無理だけど』。」

戦闘中にも関わらず、ヴィレイサーとそのデバイス、エターナルは会話をしていた。


「何をごちゃごちゃと。」

ザイアは砲火を放ちつつ、徐々にヴィレイサーを追い詰めている、かのように見えた。


「一気に近づいて叩くか。 エターナル。」

[Yes Leader.]

そう言った瞬間、ヴィレイサーはザイアに一気に肉薄し、
「閃迅漣爪(せんじんれんそう)!」

剣を振るった。


「がはっ。
 さすがにこれ以上は・・・。」

「意外としぶといな。」
ヴィレイサーはザイアの背後に立ち、動きを見ていた。

(あそこまで速く移動してくるとはな。)

「今回は不本意ながら退かせてもらうよ。」

言いながらザイアは、隠し持っていた閃光弾をヴィレイサーに投げつけた。


「っ! しまった。」

閃光弾が放たれ、ようやく目が慣れてきたころには・・・。


「チィッ。 あんな形で逃げられるなんて。
 任務、失敗か。
 後でリュウビに怒られるな。」

[仕方がありません。
 こちらも撤退しましょう。 管理局がこちらをマークしていない内に。]

「そうだな。」


Side:なのは

「うう〜ん。」

私、高町なのはは悩んでいた。

あの時助けてくれた彼は、いったい何者だったのか。

できれば、お礼を言いたいのだが、名前など知らないので、どうしようもないのだ。

「なのはちゃん? どうしたの?」

見ると、机の前にすずかちゃんがいた。

そして、その質問に答えたのは、アリサちゃんだった。

「何!? もしかして、恋でもしちゃった?
 いやぁ〜、ついになのはも恋に目覚めたか。」

「えっ!? そうなの? なのはちゃん。」

アリサちゃんの言葉を、すっかり信じきっているすずかちゃん。

「いや、別にそんなんじゃないよ。
 ただ、こないだ仕事中に助けてくれた人がいたから。
 その人にお礼を言いたいだけなんどけど。 名前もしらなくて。」

「な〜んだ。つまんないの。
 てっきりついになのはにも浮いた話ができたかなぁ、と思ったのに。」

「にゃはは。」

そんな他愛も無い話をして、授業を受け、放課後にはいった。


そのまま下校し、家に帰ると、そこにはヴィータちゃんがいた。

「あれ? 何でヴィータちゃんがここに?」

「クロノ提督から、任務だって。
 エテレニア荒原の街に所属不明の奴らが来て、何かしてるみたいだから
 様子を見に行ってほしいって。
 今、シャマルとザフィーラが先に行ってる。」

「そっか。 ありがとう。
 すぐ準備するね。」


「所属不明の部隊か。 こないだのあの人も、何か関わりがあるのかな?」

なのはは、以前助けてくれた漆黒の魔導師の事を考えながらも、急いで準備をし始めた。

Side:なのは 了




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