2 「キスのときは目を閉じるのが基本だぞ」 「…はぁ、…っ不意打ち的にしてくるの、やめて下さい…」 「別に萎えた訳じゃないんだからいいだろ。逆にここの締まりも緩くなってくれたしな」 そう言って、下肢に視線を送ればいつの間にか指の数は三本に増えていた。 キスでわずかに緩んだ隙間を利用した。 「それに、こっちの方も元気を取り戻してきてくれたみたいだぜ」 ぐい、と手で寝かせてもそれは勢い良く上を向き、戻ってくる。 一回目の射精からそれ程時間は経っていないが、若いと違うな、と一人歓心した。 それはそれで喜ばしいことだが、そろそろ自分自身のモノがきつくて湿りながら脈を打っていることに気付く。 目の前に喘いだ人物がいれば生理的に勃起してしまうのは仕方ないことだと思う。 しかし目の前の人物とは意外や意外、これまでに相手したことのない…男だ。 満更でもないな、と自己の趣向に苦笑いした。 「ふっ、くぅ…触ら、なっ…」 「またイくのか?一人だけで楽しい思いをするのは反則だろ」 情けなくも先走りで先端が光っている肉棒を取り出す。 それを目にしたガイはこくり、と唾を呑んだ。 赤黒く変色し、そそり立つそれはグロテスクの他に何物でもない。 「前戯はたっぷり、しておかなきゃな」 腰を持ち上げ、ガイの身体に密着する。 身体以上に一物同士を触れさせた。 熱く、今にでも破裂しそうなそれを重ねては腰を振り出す。 ぬるぬるした先走りが程良く潤滑の代わりをしてくれていた。 「どうだっ、擦れて、気持ちイイ…だろっ」 「あ、ひぃ…あぁあ!」 思わず、大人げないくらいに夢中になりながら腰を振った。 固定していない為に予想もしなかった方向へ擦れ合ったりするタイミングが堪らなく、病みつきになる。 知らない内に他の愛撫も忘れ、達するまで動きを止めなかった。 …いや、正確には止められなかった。 その後すぐにガイも二回目の射精をする。 二人分の放出された精液が全て重力によって身体に降りかかる。 「っはぁ…すげ、イイー…」 「…は、はぁあ…、んっはぁ…」 萎えた肉棒はある程度扱けばまた、硬さを増す。 先程達したのが嘘のように元気を取り戻す。 そして、ついに先端を入口に宛がった。 「くっ…」 慣らした筈のそこは、未だ頑なに侵入を拒む。 余韻に意識が飛んでいたガイも異物の侵入に気付き、更にきつく締められる。 先端が、埋まるか埋まらないかの微妙な境目にお預けを食らう。 「へ、いかっ…今度は何を…っ!?」 「ガイラルディア。力…抜け、」 「は、…?ッひぃ!!」 低く眉間を顰めた後、腰を無理矢理押し込む。 半分の止まった位置で慣らす為に動きを止めた。 埋まった結合部は見れば見るほど卑猥さを増すほどで、隙間など存在しない。 「これで半分、かよっ…!」 想像以上の中の締まりとキツさ加減には驚きを隠せなかった。 現実の恐ろしさに息を呑む。 それを性行為初体験ながらも受け入れているガイが哀れに思えてきたのだ。 まずは自分の我が儘というか、好奇心が招いたことだがここまで来れば取り返しがつかない。 懺悔の想いと感情が合わさり、辛そうな表情をしたままのガイを見つめた。 「辛い…か?」 「っぇ…、」 問いた言葉は疑問で即座に返された。 突然の問いかけに戸惑うのも分からなくはないが、ガイがこちらを見つめるのは何の表しか。 ふるふると小さく、ゆっくりガイの顔は左右に振られた。 開きかけた唇は息と一緒に吸い込まれ、もう一度開いてみせる。 「だって…陛下も、辛い…でしょう…?」 …衝撃、だった。 この行為の最中のどこに、相手を思いやる余裕があると言うのか。 散々、好き放題やりたいようにやってきた自分にそんな心配をされる権利だ…なんて。 思いやりの心など、そんなものは持ち合わせていない。 むしろ持ち合わせる必要すらなかった。 相手は自分に合わせるべきだ。 何を、苦労をしてまで相手に合わせる必要がある。 そんなことは…無意味だ。 無意味に等しいに決まってる。 「陛下…」 初めて繋がり合うこの身体を力強く抱き締める。 力一杯、決して離さないように。 結合部は繋がったまま。 「このまま…」 「……?」 「このまま、気持ち良くしてやるから…お前を」 十分身体に慣らした肉棒を奥まで進む。 根元の方ほど太さを増していたが、だんだん加減を考えては押し挿れていく。 すっぽり埋まったそれは身体と身体がきちんと奥まで繋がり合った証拠。 「動く…ぞ、」 「…ん、…アッ!」 手始めに腰を引く。 それから小刻みに慣らしていくように振動を重ね、突き上げる。 締め付けに意識を持っていかれないよう、時には挿れたままそれが治まるのを待った。 次第に慣れてくるとガイから漏れる喘ぎは色っぽさを増した。 「ガイラルディアの声は、そそる、な…」 今まで抱いてきた中で、一番脳髄に響く。 脳を伝って腰に刺激がやってくる。 余裕があればキスを交えてはそろそろか、と絶頂を求めた。 「あ、ぁっ…い、へ…か、ぁあ!」 激しさを格段と増した結合部は、中で生温かいものが弾ける。 最後の一滴まで全て中に注ぎ込んだ。 一緒に達せなかったガイの肉棒を上下に擦れば、すぐに三回目の射精をした。 身体が熱い。 特に胸の辺りがドクドクと波打つのが分かる。 こんなにも、興奮したことは何時ぶりであっただろうか。 胸の鼓動が治まるまで多少の時間が掛かった。 終わった後は妙に二人とも顔を合わせるのが恥ずかしくて、後処理をしなくては、とガイに理由をつけて一人シャワーを浴びに行かせた。 ただ一人思い悩む。 この後一体どうしたらいいのか、と。 「決めた。アイツ、俺の恋人にする」 後日、死霊使いの執務室に遊びに来ていた皇帝陛下は幼馴染に真剣に告知した。 「…陛下。人の仕事の邪魔をしに来てまで何をほざいているのです。それにアイツとは、一体誰のことでしょうか」 「あー?ガイラルディアのことに決まってんだろ」 何処からともなくブウサギまで持ち出し、可愛い方のジェイドを高く持ち上げた。 呆れて物も言えないジェイドを尻目にここではやりたい放題だ。 「あ、それとな。アイツ、ゲイじゃなかったぞ」 「当たり前でしょう。私の言った冗談、本気で間に受けていたんですか」 「まぁ、童貞…ってのは正解だったな」 おかげ様で美味しく、頂けた。 そこは認めるが少々納得いかない。 ガイの初々しい身体の反応やあの表情が今でも脳裏に焼きつき、離れない。 結局あの日のことが、忘れられない。 「それで、仮にガイを恋人にしたとしてお世継ぎの方はどうするんです。上からも私の方から陛下に説得してくれ、と日々散々聞かされて耳にたこが出来る程ですよ」 「そんなもん、いい女がいないから作るモンも作れねぇよ。お前なら、どうにかしてくれるだろ?」 「その根拠はどこからやってくるんですか。…全く、この国の皇帝陛下も呆れたものですね」 「お前はそのためのジェイドだっ!」 この後、皇帝陛下が同性愛(ガイオンリー)に目覚めてマルクト帝国のお世継ぎ問題が更なる深刻化したことは、言うまでもない。 end. 2010/11/30 (あとがき) 久し振りのピオガイはただのピオニーのおバカ話に!(笑 そもそも後処理をガイ一人でやらせることについてちょっと…と思いましたが、はしょりました、はい。← 本当は、お題のピオガイ「抑えきれぬ衝撃」の前のお話、「初夜」を目指して書き始めた小説だったのですが、少しずつ焦点がずれていったと言いますか。 無駄に長くなったのでlongの方に上げさせて頂きました。 実は今まで上げたlongの中で、このピオガイが一番の長編になっております…。 長かった…特に、裏の部分が!^^; いつもは、疲れたーもうこの辺でいいかな、と踏ん切りをつけて終わらせてしまう時もありますが今回は長めにしました。 …で、私が書くガイは優しいから最後の方になると包容力全開で、相手を受け止めてくれちゃうんですよ! もーどんだけだガイー!^^^^^ そして初めてなのに、あんなに濃くピオくんに相手させられたので次の日には起きられない程の腰の激痛がガイを襲うのでした…(不憫 (long02) (main) (top) [戻る] |