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メリーさんと俺:本編
1
高校生初の夏休みを何事もなく平凡に過ごした俺、神崎東は二学期開始初日に寝坊するという典型的な目に遭った。
そして今俺は絶賛活動中の太陽の下、学校に向け疾走している。
俺の通う学校は海のすぐそばにあり、水泳は海で行われる……のはいいのだが。
いかんせん海が近い分暑い。

「ハァ……ハァ……ッ、ようやく……着いたか」

海清高校、それが俺の通う高校の名前である。
とにかく俺は深呼吸をした後、始業式は終わっていると判断、教室に駆けた。


「おせぇぞ神崎ー、早く席につけーい」
俺が遅刻して教室に入った時の先生の第一声である。
この担任の名前は城ヶ崎という、体育の教師でもある彼はいつものようなきさくな笑みを俺に浮かべていた。

「はい、すんません」
と俺は早口で言うと席につこうとー……したのだが、小さな異変に気づく。

「先生ー、俺の後ろって机ありましたっけ?」
たしか7月には俺の後ろには机は無かったはずだ。

「嗚呼、それなー…、転校生が来るって聞いてんだがー…」
「転校生ですか」
「おう、まあ待ってりゃ来るだろ、神崎もとりあえず席につけ」
「分かりましたー」

転校生……か、どんな奴だろうか。
まあ根暗か痛い奴でなければいいだろう、これ以上増えてはたまらない。
そう考えていた矢先、前の席の俺の痛い友人が振り向いてきた、オイ前向いてろよ。
特徴的な髪型の茶髪の奴である、こいつの名前は四月一日和也、名字は珍しいなたぶん。
「なあ神崎ー」
「なんだ?」
「転校生さ、ほむほむみたいな美少女かな?」
「知るか、つかなんだほむほむって」
「お前……まどマギを知らないのか!?」
「興味無いな」
「嘘ォ!?」

こんな奴である、こういう人をオタクや二次元萌え…というのか?俺にはよく分からん。
なにせ興味がないからな。

「うるせーぞそこの二人」
「あ、すんません」
この馬鹿がヒートアップしかけたせいで怒られたじゃねぇか。


朝学活も終わりに近づき、先生の話しを海を見つつ四月一日の話しを聞き流しながら聞いていると、突然ドアが開く音がした。

嗚呼、転校生が来たのか。
透き通るような綺麗な声がした。
「すみません、おくれました」
「おう、入っていいぞ」

とりあえず俺は見るきこそなかったが、周りが騒がしくなったのと、四月一日があまりにも見てみろとしつこいので教卓に目をやった。
そこには、この場にはあまりに合わない者がいた。
"なんなんだアレは"
上履きではない黒いブーツ、そして……ゴスロリとかいう黒い服、紅い瞳。そして金髪のツインテール。

どう考えても、こっちの世界には居てはいけない存在が、そこに居た。
ああいうのをコスプレイヤー、というのだろうか?
彼女はお辞儀をすると名前を言った。

「私は、メリー・ハンブルクです、よろしくお願いします」

そしてこれが俺にとって、あまりに衝撃的な、新学期の幕開けだった。

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