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メリーさんと俺:本編
9

「おっはよーっす! 東! 元気か?」
 教室に入り席に座ると四月一日が笑顔で振り向いてきた、正直うるさい。
「んー、おはよう四月一日……」
「東調子悪い?」
 四月一日は俺の机に肩肘をついて言う、流石昔からの友人だ、鋭い。苦笑いをしながら返す。
「あー、ちと夜更かししちまってな」
「東が!? 嘘だろ!?」
「調べ物してたら朝になってたんだよ、悪いか」
「いや、悪くないけどさ」
 四月一日だからなおさら今家にメリーが居ることは言うべきじゃないと思って嘘をついた。
 しかし俺が夜更かしするのがそんなに意外なのか? 失礼な友人だな。


「あ、そうそう聞いてくれよ東」
 一時限の数学の途中、四月一日は突然振り返りまた俺に話しかけてきた。
 先生に聞こえないように小声で返す。
「なんだよ、……ていうか前向け、授業中だぞ」
 俺の言葉を無視して四月一日は笑顔で続ける。
「昨日の夜コンビニ行ったんだけどさ」
「また店員の人が可愛かったのか?」
 だとしたらいつものことだ。四月一日は何か、人でも動物でも可愛いものを見つけると報告をよこしてくる。俺としてはだからなんだよ、って感じなんだがな。
「いや、今回は違うぞ。たしかに可愛かったんだが店員じゃない」
 違ったらしい。まあ、俺は興味なんかないんだがな。と返す。授業に集中したいのに四月一日の話と徹夜の眠気でまったく集中できない。

「なんと真夜中に白ゴスのおにゃのこに出会ったのだよ東君!!」
「はい四月一日静かになー」
「あだっ!?」
 勢いよく立ち上がりそう叫んだ四月一日に先生が投げたブーメランが命中した。

 なぜかあの先生はブーメランをチョークとかではなくブーメランを投げ、しかもそれは確実に手元に戻る。数学教師怖い。
 そして四月一日は黙って座り黙々と授業を受け始めた。

 ……白ゴスの女の子、もしや昨日の奴だろうか。


「考えても仕方ねぇか」
 俺は今の授業に集中することにした。

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