長編小説
B ハル視点
つーか、あの男どーゆーつもりだよッ!!
俺のユキを泣かせやがって。
昨日確か電話番号交換したな。
電話してみるか。
しばらくコール音が鳴ったあと、恐る恐るといった感じで男が出た。
「もしもし?朝方はどーも。なんか、俺とあんたがSEXしたみたいなんだけどどーゆーことっすか?」
とりあえず聞きたいことをさっさと聞いてしまおう。
『いや、あまりにもハルくんが可愛くてつい…。』
…バカじゃねーのこいつ。
『あ、ユキはそこにいるかな?今のは言わないでほしいんだが…。」
死ねクズ。
こんな奴とユキは付き合って。
こんな奴を信じて。
こんな奴にユキは裏切られて。
こんな奴にユキは泣かされて。
こんな奴に……。
バカだよユキ。
…大丈夫、ユキ。
もうユキを泣かせたりはしない。
俺が、俺だけがユキを幸せにするから。
携帯電話を握りしめ、そう決意した。
「もしもし?俺の身体はヨカッタですか?またヤリたいと思いませんか?」
俺の少し甘えたような鼻にかかった声にそいつは大声で返事する。
『え、いいのかい!?ハルくんの身体は最高だったよ!もう1回できるなら…」
「…嬉しいなぁ、そう言ってもらえると。でもユキはいいの?恋人でしょ?」
そういいながら、携帯電話の音声録音のスイッチを押す。
そうとは知らず相変わらず大きな声で返答するバカ。
『ユキとは別れるよ!もともと大して好きじゃなかったんだ。デブでそんな可愛くもないし。ただ反応がウブだったから処女だけ頂こうと思って。」
死ね…。死ね死ね死ね死ね死ね
しねしねしねしねしねしねしね
体中の血液が沸騰して噴き出すんじゃないかと思うくらいの感覚に襲われた。
今すぐにその男のところに行って殺してやろうと思ったがなんとか堪えた。
ただ怒りで震える腕でなんとか電話を切り、ソファーに全身を預けた。
可哀そうなユキ。
これを聞いたらまた泣くだろう。
だけど今度は大丈夫。
俺だけがユキの味方。
俺がユキを守ってあげる。
身も心も俺に預けて。
ユキのことを考えると心が落ち着いた。
ゆっくり目を閉じて俺のものになったユキを想像する。
その想像を現実にさせるために俺はこれからの計画を立てた。
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