HSH 07/それはやり残したレベルじゃないと思う。/ティーンズ
「私はね、病気で入院してたの。兄さん、あ、兄がいるんだけどね。今どうしてるのか心配だわ」
窓の外を見ながらリナリーが呟いた。
ちょっとしんみりした雰囲気になった。
「じゃあ、リナリーのやり残したことってその兄さんのことなんさ?」
だったらそれは相当心残りがあるんじゃない、
「あら、違うわよ?もう助かりそうにないってわかってたし、やることはやったわ。死ぬ直前に思ったのは、23歳で結婚して、子ども二人産んで、100歳を超えたところで家族に見守られながら眠るように死にたかったな、ってことかな」
………
なかった。
「っていうか、いやそれもう普通に人の一生だからね。やり残したことのレベルじゃないからね」
「そう?」
リナリーが首を傾げた。
みんななんか凄すぎるよ。
オレなんか交差点で信号無視したトラックにはねられただけで…
いやいや、死んだんだから、だけって訳じゃないだろうけど。
最後に思ったのは、あの本まだ読みかけだったな惜しいことをしたな、とかだし!(多分)
普通?普通すぎるんか?
なんだか自分がいたたまれなくなった。
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