After the Rain After @/神リナ
「ねぇ、そうえばさ、」
ようやく結ばれた二人。
しかしリナリーにはひとつ気になることがあった。
「なんでいつも部長さんと一緒にいたの?」
始めは総体が近いし同じ部活の部長同士いろいろすることがあるんだと思っていた。
けれど毎日、ましてや休み時間でさえ一緒とはさすがにおかしい。
それがあったからリナリーは神田のことを諦めようとしていたのだから。
「………」
「怒らないよ?」
神田はなかなか言おうとしない。
そろそろカマをかけてみようかな、なんて思いはじめたとき、
「…お前が、」
「ん?」
「お前、進路、県外の大学行くんだろ?」
「…知ってたの?」
「コムイから聞いた」
そうなのだ。リナリーも神田も高校3年生。お互いに言ってはいないがリナリーは進学を希望し遠く離れた土地に行くつもりだ。離れ離れになることは間違いないだろう。
そうか、それはさみしいなぁ…、なんて一人思っていると、
「お前が行こうとしてる大学、俺じゃあさすがに一般は無理だけど、スポーツの推薦枠なら今から勉強頑張ればなんとかなりそうだから、それで…」
「それで、部長さんに勉強教えてもらってたの?」
「………」
確かに、神田は勉強はあれだけど剣道がすごく強いからスポーツ推薦ならいけるかもしれない。
すでに大学から声がかかってるというような噂も聞いた。
それに部長さんは、言わずと知れた学年一位の秀才さんだ。神田が勉強を教わっていても不思議ではない。
というか、大切なところはそこではなくて、
「一緒の大学行きたくて…?」
「………」
「ねぇ?」
「っ、あぁそうだよ。悪いか!?」
半ばやけになったような神田の声。
顔が赤いのは見なかったことにしてあげよう。
―どうしよう、すごく嬉しい。
「それなら言ってくれればよかったのに」
「こんなこと言えるわけねぇだろ」
そんな彼がとても可愛く思えてくる。
「今度からは私が勉強教えてあげるね」
「お前自分は大丈夫なのかよ?」
「大丈夫よ。一緒に勉強しましょ?」
そう言うと、
「絶対大学落ちんなよ」
俺も頑張るから。と神田が笑った。
「わかってるよ」
またひとつ、約束。
いつの日か二人の約束が叶うのはまた別のお話。
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