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After the Rain 10/神リナ


「神田!!」


周りのことなど気にせず大きな声を出す。

彼は驚いた顔をしていた。


「この傘、神田のだったんだね」


「…悪いかよ」


「私、気付かなくて…いつも置いてくれてたのに」


彼と目が合う。


「好きだよ。神田のこと、ずっと好きだった」


神田はもう、あの子と付き合っている。
でも、やっぱり私は神田が好き。


「もう遅いけどね、でも…」


そう言ってる途中で、髪の毛をくしゃり、とやられる。



「ばーか、そんなんとっくの昔に知ってんだよ」



「え?」


「大体、お前が言ったんだろ。そ、その、大きくなったら結婚するって」


恥ずかしくなったのか、目をそらした。


約束、覚えてたんだ…


「でも神田、あの子と付き合って…」


「付き合ってなんかねぇよ」


「じゃあ…」


ふいにぽろり、と涙がこぼれた。


「は!?なんで泣いてんだよ、俺なんかしたか?」


神田は慌てていたが私の涙は止まらない。


「だって、神田はあの子と一緒にいて。私、神田のことずっと忘れようとしてて、なのに、なのに…」


頭が真っ白で、自分でも何を言っているのかよくわからない。


「だから付き合ってなんかないって言ってるだろ?本当にお前は…」


呆れたようにそう言って、それから微笑んだ。



「俺も、お前が好きだ」



世界が、ぱっと色づいた。



思わず目を見開いて神田を見る。


彼の透き通った黒い瞳と目が合った。



―ああ、やっと。


「あ、虹が出てる!」


誰かがそう言った。



その虹を見て、またお互いの顔を見て、笑った。




「大好き」





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