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この命を捧げましょう
何処までも
貴方とともに

「また無様にやられましたね」
「・・・だまれっ!」
普段動じない声が緊張しているような声音に変わる
私が話しかけるといつもそうだ。
動かない体を這い蹲らせているのに目だけは闘志に燃えている
「悔しいですか」
私が居ないのに無茶をして20は居る敵を相手にしたらしい主は地面に刺さったままのチャクラムをにらむ。
力は弱い、まだ幼くあどけない輪郭に細すぎる手足には血が滲んで痛々しげに弄ばれた事を物語る
すぐに私が駆けつければこんな事にはならなかっただろう
前代主に頼まれた身としては悔やみを隠しきれない
「どうして私を呼ばないんですか」
「・・・」
「だんまりですか」
胸中で舌打ちをして、嫌らしい笑いを見せている敵を見据える
コルセスカを構え、近場に居る敵を挑発するようになぎ倒せば触発されたように集って来る。
一人二人と確実に倒し終えると返り血を浴びた両手が真っ赤に染まる
それは命を奪った私への罪
「なぜ殺した」
仰向けになった主は見下ろす私にチャクラムを向けて威嚇する
錆付いた鉄の匂いは風が吹くたびに私の鼻腔を擽る
「殺さなければ私達は殺されていたからですよ」
少しでも間違えれば私ののどをかき切ってしまいそうな鋭い刃は震えている
「だけど・・・!殺すのはおかしい」
悲鳴のような主の声
「私が憎いなら殺してください」
主の手に自分のを被せてチャクラムを自らの首に導く
貴方が望むなら


『この命を捧げましょう』



人の命
それはきっと愛と同じくらいに重く苦しいからこそ幸せがあるんでしょうね。
終われば。


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あきゅろす。
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