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第四章
家族としての関係


黙々と歩くレックスにカノンは不思議そうな顔をしていた。


「レックス、もしかして機嫌悪い?」

「別に…」

「全くもう。何がそんなに気に入らないの?折角ヴァルガレイスが帰って来たのに」


レックスが気に入らないのは先程までカノンがシリウスと共にいたことなのだが、彼女はまるでそれにすらも気付いていない。


(育て方を間違えたか…)


無意識のうちに出ていた溜息にカノンは益々困惑する一方だった。兄のような存在の彼がこのような姿を見せるのは今までなかったことなのでカノンは首を傾げるしかできなかった。


(何か怒らせるようなことしたかな…)


あるとすれば先程自分が迷子になってしまったことぐらいしか思いつかない。そう思ったら申し訳なく感じた。


「えっと、ごめんなさい」


突然歩みを止めてカノンがそう言ったので今度はレックスが困惑する番だった。


「何がだ?」

「レックス達とはぐれたから、そんなに怒ってるんでしょう?」


カノンの言葉にレックスは軽く目を見張るとすぐに優しげに細めた。そしてカノンの頭を乱暴に撫で回した。


「そんなことで怒ってない。大体、お前が迷子になった原因はこっちにも問題があるからな。だから気にするな」


自分を気遣ってくれるカノンにレックスは先程まで機嫌が悪かった自分が幼稚だったと思った。


「ほらとっとと帰らないとどこかの誰かさんが暴走列車のごとくお前を探し回るぞ」

「ぷっ…」


その言葉を聞くとようやくカノンに笑顔が戻っていた。
話しながら歩いていたせいか、目の前にはラトとアデル、ノエルが疲れきったような顔をして待っていた。


「カノン!遅い!!」

「ごめんなさい」

「お前、迷子になったんだって?ノエルならわかるけど」

「どういう意味よ!?」


ラトの言葉にノエルは怒り狂ったように体当たりを決めようとするが、ラトの手が向かってくるノエルの頭を押さえたのでその攻撃はラトに届かなかった。


「じゃあ、帰ろう」


今日は思いの外楽しかったとカノンの中で大切な思い出の一つになった。








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