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第三章
忘れ去られていた人物からの


シリウスに話に行った次の日の朝。朝食の席でノエルが大量の手紙の束を運んで来た。


―ふざけんなよ、あの変態やろう!―


思念通話でノエルがカノンにそう訴えて来た。どうやらその手紙の束は全てイーグからの物だった。


(今まで全然連絡が取れなかったのにいきなりこれって…)


一番上の手紙を開いてみると、まずは遅れた理由が書かれていた。


『拝啓 私の愛しい愛しいカノンへ


手紙の返事が遅れてすまないね。すぐにでも返したかったんだが、上司が次々仕事を押し付けて来たせいで新しい魔法の研究も進まなくてね。ストレスのあまり上司をマグカップにでもしてしまおうかとも考えたくらいだよ。いや、これは理由にはならないか。

とりあえず、君が元気でやっているならそれでいいんだけど、やっぱり私は寂しいよ。帰って来たらすぐに可愛いドレスとかがあるから楽しみにしててね。後……』


このような内容が何枚にも渡って書かれていたことにカノンは顔を引き攣らせるしかなかった。すぐ傍にいたアデルもカノンの横から手紙を覗き見ると、カノンの肩に手を添えた。


「クリスマス休暇楽しみにしてる」


がっくりと項垂れるカノンにラトが止めを刺す。


「クリスマス休暇にダイアゴン横町で買い物すんだよな?」


にっこりと笑うラトの顔にカノンは一発拳をお見舞いしたくなった。


(か、帰りたくない…)


手紙の束を握り締めてカノンは項垂れた。







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