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第三章
三度目の接触

陰鬱とした空気だったが、それを壊すかのようにピーターが現れた。


「シリウス!お客さんだよ」

「客?誰だ?」

「レイブンクローの生徒」


ピーターの言葉でシリウスは体が凍ったように動かなくなった。それにリーマス達が何かに勘付き、動かないシリウスの腕をそれぞれ抱え、引き摺るようにして寮を出た。

寮の外で待っていたのはジェームズは一度だけ会い、リーマスは初対面の少年だった。少年はシリウスの姿を見ると少し哀しそうに笑った。


「良かった…。怪我はないんですね?」


儚げな笑顔にシリウスの腕を抱えていた二人はそれを離した。固まったままだったシリウスはその言葉を聞いて我に返った。


「あぁ…」

「この間は申し訳ありませんでした」


深々と頭を下げる彼にシリウスは頭を下げるなと言った。


「非があるのはこっちなんだからお前が謝るな。…その、悪かった」


今の会話でジェームズとリーマスは先程聞いた話の生徒とはこの少年の子とかと思った。少年はまさかシリウスからそんな言葉が聞けるとは思っていなかったようで目を見開いていた。


「あの、もしかしてレックスに何か言われました?」


少し上目遣いで聞いてきたが、レックスという名前にシリウスは明らかに怯えていた。


「べ、べ…つに」

「なら、いいんですが…。すみません。彼は少し過保護になりすぎる時があるんで」


力無く笑うカノンにジェームズ達は頬を染めるが、シリウスは逆に顔色が悪かった。


「じぇあ、私はこれで失礼します。本当にお騒がせしました」


最後に一礼して少年は去ろうとするとリーマスに引き止められた。


「一つ聞きたいことがあるんだけど、シリウスは退学になるの?」

「?…それはないと思いますよ。寧ろ、退学になる可能性があるのは私の方ですから」


少年の退学になることはないということにその場の全員が安堵した。もう一度礼をしてから少年は進み始めた。少年がいなくなるとジェームズ達がシリウスの肩に腕を乗せた。


「で、怪我をさせた子って例のカノン君だっけ?」

「あんなに綺麗な子に怪我をさせるってシリウスの人でなしだね」

「…ふぅ。どうせ俺が悪いことはわかってるんだからいいんだよ」

「そ、それにしても礼儀正しかったね」


こっそりピーターまで見ていたのか、シリウスは自分の失態が悪戯メンバーに知られてしまっていた。


(にしても、あいつ…。あの魔法陣は何だったんだ?しかも女なんだよなぁ)


気を失ってレックスに運ばれている所をチラッとしか見えなかったが、女の時の顔はシリウスの好みの顔だった。


「はぁ…」


ジェームズ達の腕を退かすとシリウスは盛大な溜息を吐いた。








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あきゅろす。
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