プロローグ
一時の油断
地上にはすでにヴィータが勝ち誇ったかのように空から降りてくるカノンを見ていた。
「大丈夫だっただろう?」
「うん、そうだね…」
ヴィータとは対照的にカノンが悲しそうに笑ったことにヴィータは首を傾げた。そのやり取りが終わる頃になのはも空から降りて来た。
「ヴィータちゃんお疲れ様」
「おぅ!」
なのはがヴィータに手を上げて歩き出した時、背後の風景が一瞬揺らいだようにカノンは感じた。そして、いつの間にか空中に銀色に鈍く輝く刃が見えた。
「なのはちゃん!」
切迫したカノンの呼び声になのはは後ろを振り返るが、今までの大砲撃の負担によるのか動きが鈍かった。刃が振り下ろされようとした時、カノンがなのはを突き飛ばしてそれを受けた。刃はカノンの脇腹に深々と突き刺さった。
「ぐっ…。こ、このぉ!!」
ヴァルガレイスを刺し違えるかのように突き刺した。その光景になのはやヴィータは青ざめ、レックスが粟ったように寄って来た。カノンはレックスが近寄ってくるのを視界の端に捉えた。声帯が震えないせいか、カノンはただ口を動かすしかできなかった。
―逃げて…―
カノンが笑って言うとすぐにヴァルガレイスが突き刺さっている未確認が爆発した。すぐ傍にいたカノンを守ろうとレックスも近付いて行った。そして、その爆発が消える頃にはカノンだけでなく、レックスまでもが消えていた。
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