プロローグ
迎撃
「一気に行くよ」
カノンは来た時とは反対に空中に浮遊すると、空を切り裂くように出口の方へと向かった。レックスもレックスで人間の姿から本来の白銀の狼へと姿を変え、カノンの後を追った。
外に出ると最初に来た時とは裏腹に未確認の残骸が燃えていた。それも多数…。その全てがすでに撃墜され、機能を失っていた。
「なのはちゃん達や部隊の皆は!?」
カノンが辺りを見回すと空中と地上でそれぞれが未確認との戦闘を繰り広げていた。
「行くよ、ヴァルガレイス」
『Ok,master』
カノンは上空に飛ぶと戦況を見下ろした。まだ未熟な自分が指揮する部隊ではあるが、それでも未確認には引けを取らず寧ろこちらの方が優勢だった。
カノンは現状を知ると一度地上に降りた。カノンが視線を上げるとすでに周囲は未確認に囲まれていた。その状況にカノンは驚きもせず静かに見据えていた。ヴァルガレイスを鞘から向き放ち構える。するとカノンの足元に空色の魔法陣が浮かび上がった。
「白夜閃光!」
カノンが未確認に向けて刃を振り下ろす前に、ヴァルガレイスがカートリッジを数発撃ち込んだ。それによりカノンの魔力が飛躍的に上昇した。そのまま切り裂くと、未確認の機械全てが切られた所から氷漬けになった。
「爆発を起こさせないでいったらこんなものかな」
『I think so.』
カノンが視線を上空に向けるとなのはが瞳に映った。軽やかに空を翔ける少女だが、その戦闘を見るとカノンの表情が曇った。
「教えなきゃね…。ちゃんと」
そう言うとカノンはなのはを援護するために空へと上がった。
「レイジングハート。アクセルシューター」
『acceleshooter』
「シュートー!」
なのはの声と共に桜色の魔法陣から砲撃が真っ直ぐ未確認へと向かう。砲撃の着弾と共になのはは次の敵に備えた。
「カートリッジの残りがそろそろヤバいかな」
先程からなのはは体に負担の掛かる大砲撃ばかりしていた。その様子をカノンがじっと見つめていたことも知らずに。
「なのはちゃん!」
「カノンさん」
空の敵を一掃したなのはにカノンは少し悲しそうな表情をした。それになのはは不思議そうな顔をした。
「どうかしたんですか?」
「…」
カノンは一瞬躊躇ってから口を開いた。
「無茶な戦い方はしなくていいからね」
「えっ?」
それだけ言い残すとカノンは地上に降りて行った。その場になのは一人だけ残された。
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