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私達は立つ!
枯毒、孤独。

僕とワームモンがついたのは、ほとんどが終わってからだった。
SOSメールが来た。と簡素なメールのせいで、一番最後になったのだ、恨むのなら本宮大輔を恨む。場所も、なにも必要な事が書いてなかったのだから。

弓を構えたウサギ型騎士デジモンと悪魔の形相のデジモンが対当して、にらみ合う。ワームモンがそっと、アイツはヴァンデモンだよ。と教えてくれる。ウサギ型騎士のデジモンは解らないらしく、D−3で調べてみると、ラヴィモンと言う名前らしい。ウサギベースの騎士に知り合いは居ないが、ウサギのようなデジモンなら知り合いはいる。思い浮かべたのは、匹野さんであった。

「賢ちゃん」
「あぁ。」

弾きとばされるような勢いの風が目の前を吹き荒んでよく会話を聞き取れないが口は動いていた。「辛さを知ればいい」と。

光の弓が姿を変えて剣になりヴァンデモンに刺さる。傷口から、光の傷が出来て、ゆっくりと光が毒のようにじわりじわり浸食していくのが伺えた。

まるでそれは、闇のように。ヴァンデモンを飲み込み消えた。否、倒した。目の前の現実に、少し目を細めた匹野さんが、いや、ラヴィモンが赤の世界に崩れて落ちた。

「匹野さん!」
「幸ちゃん」

風の壁が、軽い音と共に止んだ。遮るモノが無くなったからと、弾けるように赤の世界に飛び込む。虚ろな目で、彼女は手を伸ばして名前を呼ぶ。

「和ちゃん真護くん?宏樹くん?幸菜さん、譲さん?悠さん。みんな、いないの?」聞き慣れない名前は、きっと前代の子ども達の名前だろう。最後の一人。きっとその背に乗っていたのは、僕よりも深い孤独。

「ごめんね、だいすけくん」

きっと、この「だいすけくん」は前代の「だいすけくん」だろう。並びでいくと、恐らくそうだ。

「幸ちゃん!。僕らはここにいるから。」
「…たかいしくん……ありがとう……」

やっと会えた。と泣きそうな顔をして、少女匹野幸は、消えた。否、死んだ。存在していた赤の世界と共に。0と1になって。


枯毒、孤独。
(とても穏やかな顔だった。)(優しい人の笑顔だった)(死んでいくのが嘘みたいでした。)(最後はきっと)(僕達を思っているみたいでした。)(風のような人の最後は)(僕達しか知らない彼女の最後)
(10年前の行方不明事件の最後の終わり。)

(あ、みんな見て!)

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