★MAIN★ ♪一歩 「どこにいんだよ…。クソ谷…」 「家にいねーとかまじありえねー!!腹減ったー!!水谷のせいだ〜」 「まったくだ。マックおごらせるか」 「賛成ー!」 クソ谷のやつを探してるのに、まず家にいなかった。 コンビニ、スーパー、ゲーセン… あいつが行きそうな場所に行くけど、見当たらない。 「うっぜー」 「腹減ったー」 2人でそう呟いたとき、水谷ん家のドアが開いた。 反射で隠れる。 耳をすますと… 「じゃあね、私帰るから」 「んー。バイバイ」 「もー…あたしが帰って寂しくないの?」 「うん」 「文貴ったら…。素直じゃないなぁ」 「はいはい、さっさと帰れー」 「私にばーっかついてきた時代が懐かしいなぁ。まってよー、って」 「いつの時代だよ。帰れ」 「酷〜い。じゃあね、文貴」 そういってリップ音が聞こえた。 つか、今…今… 「キ…ッ!」 「馬鹿!黙れ!」 言葉の途中で慌てて田島の口をふさぐ。 ……なんとかばれてねぇ。 って…こっちくるー! 慌てて、今来ました的な体制になる。 顔をチラ見した。 茶髪の巻き毛。濃い化粧。 今時な格好…って、 不良かこいつ。 もう姿が見えなくなった、ってときに田島がいった。 「やっべぇ美人!」 「え…あ、あぁ」 「いいないいなー。あんなんが彼女とかまじうらやましすぎる!」 「…彼女じゃ…ねぇだろ」 「なんで!?」 「嫌がってたろ。水谷」 「…じゃあ、なんだ?」 「…姉、とか。いとこ、とか…」 「ちぇー。おもんねーの」 「じゃ…」 「押し込むとすっか」 ピンポーンー また、だ…。 さっきからチャイム鳴りまくり。 出る気分じゃないのに。 ピンポーンピンポーンピンポーン×∞ 「…このチャイムの連打はまさか…」 ガチャー 「お。やっとでたー」 「おいマックおごれや」 「え!?何?かつあげしにきたの!?」 「それが9割」 「多くね!?残り1割は!?」 「…分かってんだろ?」 …分かってる。 でも聞かなきゃね。 自分がやってけないし。 「で?どうすんだ?」 「…」 「仲直りしろよ。ゲンミツに」 「…分かってるけどさあ。言えないよ。なんかもう…」 「ふざけんな。間に入ってるこっちの身にもなれっての」 もう…阿部は酷いなぁ!! でも。 心のどっかで、俺は悪くないって考えてる自分がいる。 キレたのあっちじゃん? なんて、心ん中の俺が囁いてるんだよ。 反対に、俺もイラついてて、ちょっと間違えた泉に軽いやつあたりしたんだって…。 だから俺が悪いって思う自分もいる。 悪い方の俺は、合理化。 良い方の俺は、自己満。 結局は…俺は自分が大嫌いなわけで。 自分のことが嫌いな自分にもイラつくっていう始末で。もう、さ…どうにもならない…っつうか。 「何ごちゃごちゃ考えてんだよ!!」 っていいながら阿部は俺の頭を叩いた。 「いってーー!!」 「イラつくやつだな!何クソ谷のくせに渋ってんだよ!自分が悪い、って少しでも思ったんなら謝ればいいじゃねえか!今、自分のことなんかどーだっていいんだよ!悪いと思ったんなら謝る!それでいーじゃねえか!うじうじすんな!」 …阿部…… 「…阿部の言い方キツいけどさ、俺も同じ意見、ゲンミツに」 「田島…」 「悩んだって解決しねーじゃん。謝ろう…?それから考えりゃいーじゃん。大丈夫だって。泉いーやつだしさ!」 そうだよ… うじうじ考えたって結局は… 謝んなきゃ。 ごめん。 って…。 「ありがと、阿部、田島」 「にひひー」 「…」 「つかさ…」 「ん?」 「さっきの美人!誰!?」 「…えーー!!聞いてたの!?」 「ばっちりな」 「うわー!イジメだぁ!」 「で?で?彼女?」 「ち、違うよ!姉!」 「ちぇ。つまんね」 「その姉の方はお前のこと溺愛してるんじゃねーのか?」 「違うよ〜。からかってんだよ絶対」 「つかキスしてたっしょ」 「し、してねーよ!」 「嘘だ〜!音聞こえたもんね」 「音って…キキキ、キスの!?」 「うん!」 さ、最悪だ… あんの馬鹿姉貴! 「…とりあえず俺寝る」 「もー!明日はこいよ!」 「うん、分かってる」 「じゃぁな!」 「バイバーイ!」 さぁ、明日泉に会ったらどうしようか…。 「いいか?徐々ににだぞ。徐々に」 「徐々に、な」 「う、う、うん!」 「三橋が最初ね。自然にだよ自然に」 「俺、頑張る!」 「よし!西浦ー…ファイッ」 「「おー!」」 運命の放課後。 俺は若干ヘビーな気持ちで部活に行く。 水谷、なぁ…… あいつなんか… よく分かんねーんだよなぁ… はぁ… 「泉よーっす」 「栄口〜!」 俺は栄口に思いっきり抱きつく。 はぁ。まじ抱き心地いいわあ。 「泉、練習しよ」 「おお!」 「え!?本当にマックおごんなきゃ駄目なの!?」 こ、この… へらへらなのんびりのむかつく喋り方は……1人しか思いあたらねえ。 「…うわ、最悪」 「泉〜…」 「栄口?どした?」 「ここむずい」 「ああ〜…そこが一番難しいとこだもんな」 俺は栄口の楽譜を見ることで、水谷から目をそらした。 …って、何うじうじしてんだよ! 俺は水谷か! 水谷はチラチラチラチラ俺の方みては考えてるし。 なんなんだよもう… 鬱陶しいやつだな! お前は本当に男か! 「…うぜぇ」 「へ?…泉?」 俺は栄口のもとから離れてずかずかと水谷のところへ行く。 気づいてない水谷の足を蹴った。 「いった!何す…」 「ごめん!」 「……へ?」 「へ、じゃねーよ!悪かったっつってんだよ!イラついてあたって悪かったよ!てめぇはさっきからうじうじうじうじ…!はっきりしろや男なら!」 俺は胸ぐらをつかみながら息を整えて、水谷を真っ直ぐ見つめた。 水谷は俺の気力に押されてか、少したじろいだ。 水谷は、そっと俺の手を外していった。 「ご、ごめん泉!俺もストレスたまって泉にやつあたりして!ごめんなさい!」 「…悪かったよ、俺も」 「泉…!」 「きめぇ。消えろ」 「え!?いや、切り替え早っ!」 「消えろ」 「2回もいうな〜!」 「おーっす…ってなんだ?もう直ったのか?」 「そうみたい。作戦実行するまでもなかったよーだね」 「本当だ!よかったよかった」 「う、ん!」 「だいたい水谷は…!」 「なんなのさもう!」 「あぁ!?」 「何!?」 「「やんの(か)!?」」 「2人とも!落ち着きなって」 「栄口ー…泉酷い」 「泉いいすぎ。水谷も反抗しすぎ」 「ま、いいや。なあ、この曲合わせよ」 「したいしたい!阿部〜いいだろ?」 「三橋が歌詞覚えたんならな」 みんなの期待の視線が三橋に集まる。 あぁ、こんなにみんなで合わせるのが楽しみだなんて。 自分に自信がなさすぎた前は、そんなことなかったのに。 俺が間違えたら駄目じゃん?、って。 確かにまだ自信があるわけじゃない。 まだ全然ダメダメだし、 間違えたりだっていっぱいする。 でも、今のすっきりしたこの感覚を覚えてさえいれば… 「大丈夫、だよ!」 あとがき☆ どの歌がいっかな〜?(^ω^) BUMP最高だよね♪ [*BACK][NEXT#] |