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★MAIN★
日常(梓視点)
はあ…
またあいつらは…


「れーーん!みーっけ」

「あ…う…み、見つかっ…」

「廉!お前隠れるのうますぎ!見つけるの難しいんだって!ゲンミツに」

「俺達2人でずっと鬼やってっしなあ…悠もちょこまかして…」

「孝介見つけんの超簡単!単純だし」

「うっぜーー!!こんにゃろ」

「だははははっ!こしょばすのとか卑怯だぞっ!廉にもやってやる」

「ひっ…うひいい!やっ…やめっ!ふひっ!」

ぎゃははははー


あいつらはっ…!
いつもいつも家ん中で鬼ごっこかかくれんぼかこしょばしごっこか…

外でやれ外で!

…っていいたいけど外ですると近所迷惑だし。
どーしたもんか。

分かりやすい大きな溜め息を、わざとしたことはなくて…

いわゆる自然にでてくる溜め息だ。


今までに何度したことか…数知らず。

「相変わらずうちは賑やかだねー。あ、ただいまアズ兄」

「おかえり勇人。隆也と一利も一緒じゃないのか?」

「1年だけなぜか早かったんだー!2、3年はまだ練習中だよ」

「そっか、おつかれさん」

「勇兄ー!おっかえりー!」

悠一郎が勇人に思いっきり抱きつく。

「おかえりー」
「お、おかえり、なさい!」

廉も真似するように勇人に抱きつく。
勇人は本当にお母さんだなあ…

「あはは、ただいま。悠、孝介、廉。って…抱きつくのダメ!汗臭いよ?」

そういって2人を離す。
悠はぷくっと頬を膨らませ、廉はすぐにごめんなさいと謝る。

「あー2人とも、お風呂あがったら遊ぼ!ね?」

「やったーー!勇兄が遊んでくれる!なあ!孝介!廉!4人で鬼ごっこしよーぜー」

「う、うん!…やる!」

「おー!」

勇人は優しいなあ。
みんなに頼りにされて…



…って。
鬼ごっこ…?



ドタドタドタドター

ぎゃははははー


勇人…お前あいつらに混じるなんて。

少しショックを受けたけど、次の瞬間誤解だと気づいた。


「こらっ!3人とも走るな!せ…せめてかくれんぼにしなさい」

「「はーーい…」」
「ご、ごめん、なさい」

「うん!良い子!」

そういいながら、勇人特有の落ち着く笑顔で、悠と廉の頭を撫でる。
撫でられた2人は気持ちよさそうに笑った。

「孝介も中学生なんだから暴れすぎちゃダメだよ?」

「はーい」


さ、さすがは…兄弟の中のお母さん。
叱り上手というか…

俺も教師としてしっかりしなきゃな…


「あ!4人ともおやつあんぞ!ご近所さんからもらったうまいケーキ」


次の瞬間、素晴らしく3人の声が重なった。
「「「食べるっ!!」」」


…なんというか…
食い意地ははってんだよなー…兄弟みんな。


「梓っ!早く!」

「呼び捨てにすんなっ!」

悠はなぜか孝介と俺だけ呼び捨てだ。
なんでか一回聞いたけど納得できる答えじゃなかった。

『梓っていい名前じゃんか!孝介は年近いから』

いい名前…って。
関係ないし。
孝介年近いっつっても一応兄貴じゃん。


ま、気まぐれなんだろうけどな。


「うんめーっ!なあなあ!兄貴達の分も食っちまおうぜ!」

「ダメだよ悠!」

「えーっ!いーじゃん隆兄の分くらいなら!なあ廉!そう思わね?」

「お、俺も!ケーキ、食べ、たい…っよ!」

「文兄と隆兄の分ぐらいーんじゃね?」

ったくこいつらは!
ただでさえ8人分しかないから、俺はともかく辰太郎まで我慢してもらったってのに。
食べ物のことだと容赦ねー。

「駄目だ!そんなに食べたいなら本人の了承得てからなっ!」

「「えーーっ!」」

「文句いうなっ!」



ああ神様…
問題児3人はどうしたらおさまるんでしょうか?


泣き泣き祈る、俺。







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