[通常モード] [URL送信]

★MAIN★
野球3(勇人視点)
5回表、俺達の攻撃。
ツーアウト2塁でバッターはアズ兄。ランナーは孝介




チャンスだよ…
頑張れ、アズ兄!



「…」
悠はピッチャーに本気だされて、まだ打ててない。
だからずっとピッチャーの投球を熱心に見てるんだよね。

兄弟みんな…
悠は打てるって思ってる。
何でだろう。小学生なのにね。


でも…悠は打てる!絶対!



「アズ兄ー!うてー!」

「おお!」

まずは先制点欲しいじゃん。
アズ兄、あのスピードでホームランできるのはアズ兄か尚ちゃんぐらいしかいないよ。

一兄もどっちかってとちっちゃい方だし…隆兄も難しい。
俺達下4人にはホームランの前に、あてるのにまず一苦労。



アズ兄!期待してるよ。




キーンー

うわ、いい音!
十分…孝介なら走れる長さ!

「…GO!」

ダッー



おお…ツーアウト1、3塁。
0ー0のままでバッターは一兄!

「孝介まじはえー!」

悠と孝介は本当足早いなあ。
確か孝介…50m学年1位っていってた。

悠なんかダントツ学校一だし。

もう自慢の弟だよー2人とも。




「一利うてよ!」

「おおー!頑張るっ!」

一兄も頑張れー!!










カキーンー

「う…」
「「うったー!!」」

悠と文兄が同時に叫ぶ。
一兄凄いよ!


孝介が…ホームイン!!

「「一点とったあ!!」」


悠と文兄はまた同時にいって同時に孝介の方へ走る。


ガッバー

「うぎゃ!」

孝介いきなりで倒れちゃった。
でも何だか嬉しそう。

一兄がアウトになる前にホームインしたからギリギリセーフ!

やったー!










結局その一点しか得点はとれなかった。
俺はあんま得点に絡めなかった。けど、悠もあのピッチャーの本気の球を、センター前ゴロにしたんだから凄いよ!

なんかそれだけで十分。
廉も三振10個奪ったし!
満足そう。
大人相手に奪三振二桁なんて…


やっぱチビ達も侮れない。

俺も負けてらんないや。




「勝ったー!!」

帰り道、悠は嬉しそうに叫んだ。それを見て思わず俺もにやける。

うわあ…俺達強いのかも。


「勇人ー!勝ったんだね俺達」

文兄が俺の肩にもたれかかりながらいう。文兄もすっごく嬉しそう!

「うん!勝った!」

文兄と笑いあう。



たまにはこんな休みも…
いいかもしれない。

そう思いながら、歩いてると、孝介が目に入った。


ん?なんか…
嬉しい…っていうより…



物足りない。
…って感じだ。

どうしたんだろう…?







「たっだいまー!!」

悠の元気な声が家に響く。
悠は全然疲れてないのかな〜?
そのちっちゃい体のどこからそんなパワーがでてくるんだろ?


「悠、君!すごか…った!」

「だろ〜!?てか、廉もナイピッチ!」

悠の元気がでる笑顔が、廉に向けられる。みるみる廉の顔も笑顔になる。
ほんと仲いいなあ…




あ、そういえば孝介は…?

「孝介なら倉庫にバットとかしまいにいってくれたぞ?」

アズ兄が教えてくれる。
俺も、呼べばいいのに…

「分かった!ありがと」


倉庫に行くと、バットを片付けてる孝介が目に入る。

「孝介!」

俺が呼ぶと孝介はびっくりしたように肩が揺れる。

「勇兄…別に手伝いとかいいよ?」

「いいよ、手伝う」

そういうと、孝介は返事をするかわりに眉を下げて笑う。

この表情…





ほんと…さすが兄弟だ。

「片付け終わり!」

「うん!…ねえ、孝介…あの間違えてたら悪いんだけど…なんか試合終わったあと…物足りなさそうな顔してなかった?」

俺がそういうと…
孝介の顔はみるみる赤くなっていく。

図星…なんだ。
…可愛いなあ。

「別に…!」

「……素直にいってごらん?ね?」

そう俺がいうと、孝介は観念したかのように近くの縁側の床に座る。
俺も孝介の隣に座ると、孝介は話し始めてくれた。

「ただ…みんなと野球したの…すっごく楽しくてさ。もう終わっちゃったんだ…って思ったら…まだまだ物足りないって思った」

少し下を向きながら孝介はいった。
そうか…
孝介すっごく楽しそうだったもんね。



「そっか…」

俺が思わずそう呟くと、恥ずかしかったのか更に下を向いた。


「じゃあ…また休みができたら、またみんなで野球しよ?」

俺がそういったら、

「ほんと!?」

ていいながら俺の方を勢いよく向く。

孝介…そんなことなら遠慮せず言えば良かったのに。


そう思ったら、孝介が可愛くみえて、思わず頭を撫でる。

孝介は驚いてたけど、すぐ笑顔になってくれた。

頭撫でて笑顔になるならいつでも…どんなときでもしてあげるのに。









また…

野球しよう。


きっと、
次はもっと楽しいから。










[*BACK][NEXT#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!