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sweet,sweet(スク骸+ベルマモ)
「見てくださいこれ、すごく美味しそうですよ!」

「…そうかよぉ」

目の前にはルビーとサファイアのオッドアイを輝かせショーウィンドウの中をじっと見つめる少年。その横で何をするでもなく少年の様子を眺める自分。
スクアーロが今いるのは日本、すれ違う人々はみな黒い髪に黒い瞳。そんな中では銀の長髪に銀の瞳という己の容姿は嫌でも目立ち、道行く人々の好奇の視線が己が身に突き刺さる。特殊部隊の人間が軽々しく人前に姿を晒してんじゃねぇ、と横暴な我等がボスの姿が目に浮かぶ。帰ったら恐らくは怒りの一撃が飛んでくることだろう(きっとグラス程度じゃ済まねぇなぁ)。
目立つといえば少年の容姿もそうで、オッドアイの瞳だけでなく深い藍色は少々変わった髪型(そのアホ毛はなんだぁ、葉っぱかぁ?)。
そもそも何故自分はこの――ボンゴレ霧の守護者、六道骸と一緒に買い物などに来ているのだろうか。
答えは簡単、数時間前の会話を聞いて頂こう。



「クフ、ショッピングに行きたいです」

幹部の部屋が並ぶヴァリアーの屋敷奥、厳しい警備をどうやって抜けたのか、スクアーロ、ベルフェゴール、マーモンが揃ってくつろいでいた談話室にその少年は突如現れた。
前触れなく姿を見せた侵入者に瞬時にナイフを構えたのはベルフェゴール、しかし彼のことなどまるで目に入っていないかのように骸がまっすぐ歩いてきたのは有ろうことかスクアーロの前。

「…知るかぁんなこと、てめぇどうやってここまで来た」

「おやおや、つれないですねぇ。そういえば久しぶりですね、強欲のアルコバレーノ」

どうやらスクアーロの態度が気に食わなかったらしい、骸はまるで隠れるようにベルフェゴールへと体を寄せていたマーモンに毒のある笑みを向けた。
それだけで身をすくませるマーモン、余程骸が嫌いらしい。そんな赤ん坊を気遣ってか、警戒心を露に骸を睨み付けていたベルフェゴールがマーモンに手を伸ばしぎゅっと抱き締めた。ナイスだベル。

「何が目的だぁ」

「ですからショッピングに行きたいんですよ。連れていってくれないというのであれば…暇ですからそこの彼と幻術遊びでも」

目を細めて思い切り睨み付けてやっても微動だにせず、むしろマーモンへと視線をくれて楽しげに自分達の様子を眺める。
…脅しだ。
小さく舌打ちして自分のコートを手にとる、その動作を見て天使の笑みを貼り付けた悪魔は満足げにオレに近付いた。



一連の回想を経て今に戻る。
決して情に流されるようなお人好しではないのだが、あの小さな赤ん坊の怯えた姿を見てしまっては放っておく方が無理というものだ。
考えに耽っていたら不意に名前を呼ばれ現実に引き戻される。視線を戻せば相変わらず楽しそうにこちらに笑みを向ける少年、その瞳を何度見ても彼の考えは全く読み取れなかった。
いつもなら人を苛立たせる、もしくは怯ませる怪しげな笑みをその端正な顔に貼り付けている少年、だが今浮かべている笑みは心から楽しそうで、赤ん坊の仇はどう取ってやろうかという考えは少しずつ薄れていく。
今回はもう仕方ない、そう諦めて満足するまで付き合ってやることに決めた。

「次はあれ買ってください、限定のザッハトルテ!」

「…糖分過多で死ぬぞぉ」





fin.





骸受けネタを纏めていた時に「スクを引っ張ってショッピングデートな骸」というネタがありまして、実現しちゃったまさかのSSです←
骸受け大好きで鮫は基本攻めリバなので普通に書けました。
この二人原作では全く接点無いのにいつの間にかなつかれました鮫。子供にやたらなつかれます。←
そしてほんのりベルマモ。ベルは霧戦のことで骸嫌いなんじゃないでしょうか(笑)
骸チョコレート好きだけどバレンタインとか大変そうですね。いろいろと←

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