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雨に濡れたシンフォニー(フラン過去捏造・スク＋マモとフランとベル) ある日任務から帰ってきたスクアーロが連れていたのは、深緑の髪と瞳を持った何とも可愛げのない子供だった。きっと誰が見てもそう思うに違いない、何故ならその子供はスクアーロにぴったりくっついたままで他の誰にもなつかないから(王子が声かけてやったのに返事もしないとか有り得なくね？)。 大層酷い目に遭ってきたらしい、たまたま助ける形となったスクアーロにすっかりなついてしまっている。 スクアーロがザンザスに報告した内容を簡単に聞かせてもらったら、任務先にたまたま居合わせたのがその子供で、乱戦の最中にその子供に流れ弾が行きそうになっていたのを死体から転がったリングと匣を使い身を守ってみせたということだった。 リングに炎を灯すのは簡単なことではない、更に匣を開匣してみせたというのだから驚きだ(何てったってただの子供なんだからな)。スクアーロもそれを見越して連れてきたのだろう。 それについては別に構わないのだ、優秀な人材はヴァリアーとしては大歓迎。 問題はその態度、王子に対して失礼にも程がある。 「あ、なースクアーロ、あのクソチビは？」 「あぁ？オレの部屋に居座ってやがるが、何か用か？」 たまたま廊下で擦れ違ったスクアーロの袖を引っ張れば簡単にわかった子供の居場所、今日こそは返事をさせてやると意気込んで方向転換しようとしたら、ベルフェゴールの今後の行動に気付いたのかスクアーロが腕を掴んできた。 「言っとくが、あいつが一人の時に会いに行っても逃げるだけだぜぇ」 「お前がいれば逃げねーの？ならお前も来いよ」 「オレはこれから任務の報告…う゛お゛ぉい、人の話は最後まで聞けぇ！」 半分説教に近い台詞は華麗にスルーして引っ張っていく、しばらくすると観念したのかため息をつきながらもベルフェゴールの前に立って歩き始めた。 それでよし、最初から王子の言うことは素直に聞いとけばいいの。 「…フラン、いるかぁ？」 「あれ、早いですねー…誰ですか、その人」 部屋に戻ったスクアーロを見るやベッドに腰掛けたまま嬉しそうにぱっと顔を上げたその子供、だが後からスクアーロを抜いて入ってきたベルフェゴールを目に留めるとすぐさま初めて見た時と同じ仏頂面に戻った。 …ホンットに可愛くねー、サボテンにしちゃっていい？もしくは燃やす。 「王子のことも覚えてないとかお前失礼過ぎ」 「…………」 「…………」 「………………」 返事くらいしろってのクソチビ！ 無言で睨み合いを始めたベルフェゴールと子供にため息をつくスクアーロ。 二人を諌めようと口を開きかけた刹那、不意に聞こえたのは少しだけ低くなった(ような気がする)幼い声。 「…ムム？スクアーロじゃないか。ボスへの報告はどうしたんだい、あまり遅れるとまたグラスが飛んでくるよ」 「あ、あぁ…」 だいぶ大きくなった(といっても平均より小さいことに変わりはないのだが)背丈、相も変わらずフード付きの頭を撫でてやると扉に向けられた不思議そうな視線。そういえばマーモンはフランに会ったことがない…が、今会わせようとしたところで逃げられるのが落ちか。 てくてくと遠退いていく背中を見送り、スクアーロは未だ睨み合いを続けるお子様二人へと再び視線を戻した。 「オレはボスさんのところに報告に行ってくる、すぐ戻るからケンカすんなよぉ」 「あ…」 僅かに聞こえた寂しげな声は、言うなりさっさと行ってしまったスクアーロの背中にはきっと届いていない。 見えなくなったあいつの背中から視線を外して可愛げのないその子供へと視線を戻すと、枕をきつく抱き締めながら唇をきゅっと噛み、深緑の瞳を揺らして俯いていた。 ふと、重なる面影。 「…お前、もしかしてさ」 返ってくる沈黙。 「人が怖い？」 「……！」 ばっと顔を上げたそいつから送られてくるのは突き刺さるような視線。王子になんて失礼な態度を取るんだという台詞は自然と浮かんではこない。 「あいつはさ、」 「………」 「信じて大丈夫だぜ。絶対裏切ったりしないから」 「……そんなこと」 初めて返ってきた言葉、今はいないこの部屋の主が聞いたらどんな顔をするだろうか。といっても、教えてやる気は更々無いけれど。 「あんたなんかに言われなくてもわかってますー」 ほんの少しだけ動いた唇、その笑顔は心からの信頼が映されたものだったんだと思う。 雨に濡れた君と僕、重なる気持ちは響き合う。 fin. フラン過去捏造でした。 時間軸としては現代より+3〜5くらいです。 フランって実は人見知りで他人になつかない子なんじゃないかと。でも拾ってくれたスクにだけはめっちゃなついてます。 ベルもフランもスクお父さん(語弊)が大好きなので二人の仲はあんまりよろしくない(笑) そして何気にスクとマモちゃん仲良し← 他のSSのスクフラたまにこれから続いてます。 ［*前へ］［次へ#］ [戻る]  |