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◆優しい嘘ならいらない(スクフラ・新年祝)
「ひぅっ……ふぅん、く…んっ」

ぐちぐちと入り口を掻き回す指の刺激に頭をベッドに埋めながらシーツにすがり付いて堪える。

「ん……ふぁっ、ひ、あっ」

気まぐれに奥を抉っては抜いて、一番弱い性器の裏側を掠められる度に腰が浮く。それでも僅かに触れるだけのその刺激では足りなくて、自ら求めるように腰が揺れた。四つん這いになったまま腰だけを高く上げさせられた体勢に羞恥心が煽られ、意思とは反して熱を持ち触って欲しいと主張するようにふるふると震える自身。

「ぁ、あっ……や、だ…ぁっ…や、もう…っ」

涙で滲んだ視界の中なんとか首を捻って振り返ると、僅かに笑みを溢したような声と共に中を犯していた指が抜かれ、圧迫感が消える瞬間無意識に内壁が締まる。
呼吸を整えようとほっと息をついた瞬間、ぐっと宛がわれたそれが一気に中を貫いて大きく背中がしなった。

「ひ……あああぁっ!ひぅ…ぁ…っ」

強い快感から逃げようと自然に腰が浮いて、しかし反対に内壁は侵入してきたそれをきゅうきゅうと締め付ける。逃がさないようにしっかりとくわえこんだそこはこれから与えられる刺激に期待するかのようにひくひくと収縮を繰り返した。
快楽と羞恥とで涙腺が緩み、ぼろぼろと透明な雫が頬を伝う。それを掬う為に寄せられた口唇が耳許でぴたりと止まった。
酷くされるのも好きだろ。
楽しげな響きを持った囁きが鼓膜を震わせた瞬間、律動を始めたそれに抑えきれない嬌声が口唇から溢れた。

「ああぅ、んぁっ、ひんっ……ふぁ、は、あっ」

容赦無く突き上げてくるそれに、散々焦らされた身体は簡単に昇り詰めていく。受け入れらぬ程の快楽を与えられ、がくがくと震える腰は既に限界を越えようとしている。

「っひ…ぅあ、あっ、ふは…っ、イっちゃ…も、イっちゃ…う…ひうぅっ」

激しい突き上げと共にすぐにでも熱を吐き出しそうな自身をぐっと握り込まれ、ついに許容量を越えたそれはびくびくと痙攣してシーツを白濁で汚した。絶頂を迎えた衝撃できゅうっと収縮した内壁にどくんと反応したそれが奥に放った白濁にすら腰が震えて、一気に弛緩した身体がシーツに沈み込んだ。

「ひぅ、ふ…は、はっ」

どくどくと流れる鼓動がやけに速いのを宥めようと浅い呼吸を繰り返す。と、その時壁にかけてあった時計がかちりと天上を差して、既に始まった新たな時から僅か一時間ばかり過ぎたことを告げた。
身を捩ると背中に腕を回され、繋がったままくるりと身体を反転させられた。中に残ったままの白濁がたぷんと揺れて、その感覚にまた身を震わせる。
伸ばされた手が涙の残る目尻をなぞって溜まった雫を浚っていく。その優しい仕草がもう残り限られたものだと思うと、胸にわだかまっていた想いが複雑に絡み合って喉を圧迫した。
手を伸ばして雪のように隙間から逃げていく銀を捉えた。

「ら、いねんもまた、こうやってられますか」

頬を撫でていた右手が動きを止めた。

「来年も二人で、今みたいにいられますか」

卑怯だ。
他の誰でも無い、自分に向けてそう貶した。
そんなことわかりきっている。
偽りの未来、崩れた過去。狂わされた世界に生きる自分達が、正しかった世界を手に入れようと必死に足掻いていること。
最初はそれが正しいと信じて疑うことも無く、それ以外の世界に興味を持ったことなど無かった。執着もしなかった。
正しくあるべき世界で正しかったはずの未来を歩むのが、当たり前で大切で必要なことだと思っていた。
気付いた時にはもう遅かったんだ。

「教えてください」

いつの間にか目で追いかけていた。話したり眺めたりしているうちに新しいことを知った。ずっと一緒にいるうちに、どうしようもなく好きになっていた。
狂わされていたはずの世界を、あなたのせいで少しでも愛してしまった。

「答えてください、」

どうすればいいの。
もう後戻りは出来ない。
掴んでいた銀を離して、首に腕を回してきつく抱き付いた。
今感じている温もりも、きっと失うんだ。
ふと、震える背中を冷たい手が撫でていった。

「…ちゃんといるぜぇ、」

宥めるように往復する腕に火照った身体が少しずつ落ち着きを取り戻していく。
俯けていた顔を僅かに上げれば、普段と変わらぬ眸をしたその人が僅かな笑みを讃えてじっとこちらを見つめていた。

「…嘘は嫌いです」

「ちゃんとお前の傍にいる」

「……嘘つき」

「オレは嘘はつかねぇよ」

息もままならないくらいにきつく抱き締められた。
いつもと変わらないその眸で、いつもと変わらないその笑みでそんなことを言うから。

「嘘だったら、承知しませんからねー…」

精一杯の虚勢を張って、離さないように強く強く抱き付いた。

(あなたがいつもと同じように笑うから、信じてしまいそうになる)





fin.





一応大晦日ネタ…です。
姫初めネタ書きたかっただけなのに何故か切ない落ちになった…
それにしてもうちのフランは泣き虫ですね。いや隊長も女泣かせなところあるんですけれども←
でもちゃんと来年も一緒にいられるはず(^^)

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あきゅろす。
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