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ホワイト・スノウ・バースディ(スクベル・ベル誕)
冷戦状態にあったマフィア間の争いが激化し、それに関わっていた多くのマフィアにも戦火は飛び、独立暗殺部隊ヴァリアーの所属するボンゴレもそれを避けられない状況に追い込まれた。
元々ヴァリアーに舞い込む依頼はあまり時期に関係性が無い。だから毎年普段と同じようにとある日は二人で有休を取って過ごしていたけど、今年はその抗争のせいで簡単に休みを取れる余裕が無い。
それでも一日だけとボスに懇願して手に入れた特別な日、お互いに任務が入っていたからそれを終えてこの場所で待ち合わせるはずだった。

「…いくらなんでも遅くね、王子待たせるとか重罪なんだけど」

何も着けていない為に冷えきった両手、はあと息を吹きかけても暖かいのは一瞬だけで僅かな熱はすぐ逃げていく。
時刻は既に十一時を過ぎ、冬の澄んだ空に星屑が瞬く。
暗い街並みに囲まれぽっかりと空いた空に、まるで閉じ込められているような錯覚。

「……寒い、し」

白いマフラーを巻き直してコートの襟を寄せると、そのまま街灯の側の段差に座り込む。
じっとして古い煉瓦の道を見つめていると、はらり、視界を白い羽根のようなものが過った。

「雪…?」

はらり、ひらり。
空から降りしきる無数の雪の華。
一つ、二つと地面に触れては儚く溶けて消えていく。
最初は僅かだった雪が少しずつ視界の色を濃くし、気付けばひらひらと落ちてくるそれは地面をうっすらと白に彩っていた。
消えた街灯、星屑から降る光と折り重なって、ぼんやりとした雪明かりが辺りを浮かび上がらせる。
その道の向こうで、僅かに煌めく銀色。

「………あ、」

段々と近付いてくる煌めきにいつもの面影を見つけて、立ち上がりもせずにじっと見つめた。
ただただこちらを目指して駆けてきたそいつが、少し息を弾ませて目の前に立つ。
そこで初めて顔を上げてまじまじと様子を眺めると、よほど急いでいたのかコートを羽織っただけでマフラーもいつもの黒い耳当ても着けていない。
自分を観察するような視線を気にも留めず、そいつはオレに向かって右手を差し出した。

「…遅くなって悪ぃ」

「……ほんとにな」

差し出された腕を掴んで、引かれるがままにそいつの胸元に顔を押し付けた。
さらりと流れた銀糸が頬を擽る。
頭を撫でていた手が背中に回されてそっと抱き締められた。
かちりと針が天上を差して、新しい一日を知らせる鐘が鳴り渡る。

「…Buon Compleanno,Belphegor.」

自然と寄せられた温もりを抱き締め返して、冷えきった頬に唇を押し当てた。





fin.





ベルはぴばスクベルです。
最初は甘ったるいのを考えてたんですがベタなものしか思い浮かばず胸焼けしそうだったので微糖仕様になりました。ほんのり甘いのも大好きです*´`*
一つのマフラーを二人で巻いてそっと寄り添って雪を眺めてたりしたらキュン死に出来ます。
Buon Compleanno,Belphegor!

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あきゅろす。
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