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王子様へ悪戯(スクベル・ハロウィンフリー)
「トリックオアトリート!」

何の遠慮も無しにバンと勢いよく扉を開け放った王子様、扉の耐久力が少々心配だ。
内心でため息をつくスクアーロなどお構い無しに、黒いマントを羽織り黒い三角帽子を被ったベルフェゴール(これでも立派な二十代後半である)はにんまりと笑みを浮かべた。恐らく脳内にはスクアーロに仕掛ける悪戯プランが溢れんばかりに詰まっているに違いない。

「お菓子ちょーだい」

だが残念ながらスクアーロもただ好きにさせている訳ではない(昔は散々振り回されたが)。
今年は好きにはさせないとばかりに積まれたドルチェの箱に目を留め、ベルフェゴールはつまらなそうに唇をへの字に曲げた。
予想通りの反応に満足。

「ちぇー、そう何回も引っ掛からないか」

「お前の悪戯は度が過ぎるからな」

「そんなん愛情表現だしー」

「んな痛い愛情はいらん」

「そう遠慮すんなよ」

早速ドルチェに手を出しチョコレートを箱一つ分ぺろりと平らげたベルフェゴールがまた別のドルチェへと手を伸ばす。
その様子を何の気なしに見ていたら思い付いた、思わず口の端が吊り上がる。
そんなスクアーロの様子に気付いたのか、ドルチェに夢中になっていたベルフェゴールが訝るような表情で顔を上げた。

「Trick or Treat」

「…え、」

「お菓子か悪戯か」

意地悪くにやりと口の端を歪めてみせれば、予想していなかったのだろう、僅かに顔を強張らせた。毎年悪戯を仕掛ける側だった為、自分が言われた時のことなど想定せず当然菓子など用意しているはずもない。

「さぁ、どっちだぁ?」

「…えー…っと…」

「お菓子か、悪戯か?」

「…そ、そんなの用意してないし!」

「なら悪戯だなぁ?」

勝ち誇ったように笑みを浮かべてみれば悔しげに睨み付けてきた、が仔猫と変わらぬそれでスクアーロが怯むはずもなく。

「…ちょ、何すっ」

「悪戯っつったじゃねぇか」

ソファーの隅まで追い詰めて、半ば強引に口を塞ぐ。奥に引っ込んだ舌を絡めとり引っ張り出してやれば少し苦しそうにしつつも尚睨み付けて続けていたが、しばらくすると服をきゅっと掴み自分から舌を絡めてきた。解放すれば少し荒い息をしながら見上げてきて、既に少し潤んだ瞳に何とも言えない愉悦感。
視線を感じたのだろう、僅かに染まった頬を隠すようにそっぽを向く。

「……優しくしろよな」

「それじゃ悪戯にならねぇ」

「ばっ、ちょっ…!」



Trick or Treat!(オレはドルチェじゃないっての!!)





fin.





ハロウィンフリーVer.スクベルです。
スクアーロが反撃に出ました←
毎年ちゃんとお菓子用意してるんですが、忘れた年には悪戯が待っています^^
フリー期間はハロウィンから一ヶ月になります。転載の際は報告不要です、サイトか管理人の名前だけお願いします^^

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あきゅろす。
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