ドルチェよりも甘い(スクフラ・ハロウィンフリー)
こんこん、という控えめなノック。
少し遅いと思っていたが漸く来たらしい、ぱらぱらと捲っていた雑誌から顔を上げ、普段ならばしないが自ら扉を開け招いてやった。
「お菓子くれないと悪戯しますー」
目の前に現れたのは、普段のカエル帽子ではなく可愛らしい顔の布お化け。ハロウィンに相応しく黒いマントを羽織り、ひらひらと靡く布お化けの布をずり上げたフランは言葉通り悪戯っぽい笑みを浮かべてみせた。
「来たなぁ、座って待ってろぉ」
「はーい」
このヴァリアーでも毎年ベルフェゴールが菓子をねだりに来る為この日は必ず菓子を用意している。今まではマーモンを抱きながらやって来たが、フランが加わってからは二人で仮装をして別々にやって来るようになった。大方ベルフェゴールはザンザスのところにでも行っているのだろう(あのザンザスがわざわざドルチェを用意しているかは別として)。
「わー…こんな豪華なのほんとにもらっちゃっていいんですかー?」
「別に大したものじゃねぇだろ」
テーブルに並べてやるときらきらと瞳を輝かせてスクアーロを仰ぎ見る。
別に何てことはない、パンプキンパイ、パンプキンプディング、パンプキンケーキ…と普段作ってやっているものをハロウィン風にアレンジしただけなのだが、子供から見ると何かが違うらしい。
「ほんとですねー?ほんとにもらっちゃいますよー?後で返せって言っても返しませんからねー」
「言わねぇよ、好きに食え」
嬉々としてケーキに乗っているジャック・オ・ランタンの形をした砂糖菓子をつつき始めたフランを眺める。一つ一つ嬉しそうに口に運んでは顔を綻ばせるその様子を見ていると不覚にも和んでしまった。
「…頬、クリーム付いてるぞ」
「え?あ、ほんとですー」
拭おうとする手を掴み制止して、顎を掴んで固定させると頬に唇を寄せ口端に付いたクリームを舐めとってやる。そのまま唇を離すとほんのりと頬を染めたフランと視線が合った。
「どうだった?」
「ど、どうって…その…」
「ドルチェ」
「あ…そ、そっちですかー…」
フランは恥ずかしそうな表情で目を逸らすと、布お化けの布を下げて顔の上半分を隠した。
「…ドルチェより、甘かったです」
Trick and Treat!(お菓子と悪戯もらいました)
fin.
ハロウィンフリーVer.スクフラです。
旦那の料理の腕前がどんどん上がっていきます(笑)
なんかこの二人普通にいちゃついてても自然過ぎて違和感無いんですよね…←
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