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人はそれを自業自得と言います(ベル+フラ→スクザン)
「……最近カスが冷てぇ」

不意討ちとはこのことだ、ザンザスから放たれた唐突な言葉に思わず手が滑り、しまったと思った時には液晶画面には『You Lose』の文字。それに思い切り眉を寄せて、フランは非難の意を込めて我等がボスをじとっと睨み付けた。
隣ではゲームに勝利したベルフェゴールがにんまりと笑みを浮かべながら同じくザンザスへと視線を注いでいる。

「いきなり意味わかんねーんですよボスさんがー、お陰でいいところだったのに負けちゃったじゃないですかー」

「カスが」

「あんたがな」

「ししっ、まあ仕方ないんじゃね?オレ王子だし」

「王子とか欠片も関係してねーんだよ王子(仮)」

「…お前死にてーの?」

一連のやり取りに一通り返し(もはや恒例である)、てかてかと敗北の二文字を照らすゲーム機を脇に放るとフランはザンザスの方へと向き直った。因みに神経を逆撫でする為にふんぞり返って足を組んでみたり。

「で、何の話ですかー?仕方ねーから聞いてやんよ」

「なんでお前そんなに偉そうなんだよ」

「…カス鮫が…」

「なあボス、突っ込み無し?アレは放っといていいの?ねぇ」

ベルフェゴールの突っ込みなど気にも止めずフランの問いに答え始めるザンザス。むしろ二人共突っ込みが耳に入っていないようである。いつもは幹部達のボケに的確な一言(たまに長い)を入れてくれるヴァリアー随一の突っ込みは今は不在だ、この個性的過ぎるメンバー一人一人にしっかり突っ込みを入れている彼の苦労が今のベルフェゴールにはよくわかった。
無理、突っ込みとかめんどい。王子パス。

「カスが…最近冷たいんだ」

「そんなのいっつもじゃないですかー」

「確かに」

「納得しちゃうんだ、そこ」

オレが構ってもらいに行くとけっこう相手してくれると思うけど。つーか単に忙しいだけだろ、王子この前ボスがあいつにすんげー量の書類押し付けてんの見たし。
あれ一人でこなせるレベルじゃないと思うんだよね、王子的に。

「大体ボスさんは横暴過ぎるんすよー、あんなことしてたら普通嫌われますって。何だかんだ言いつつ付き合ってくれてる隊長にもっと感謝すべきじゃないですかー?」

「…オレがカスに…」

「そーです、感謝ですー。隊長もお人好しですよねー、ミーに乗り換えればいいのに」

「さりげなく何言ってんのお前」

「おっと、つい本音が出ましたー。後隊長に任務押し付け過ぎだと思うんですよー、まあ手伝うとか言ってどさくさに紛れて抱き付いたり出来るんでなかなか美味しいんですけどー」

「なん…だと…?」

「フラン、お前さっきからボロボロ本音出てるから」

「まあ別にいいかなって」

「キャラ変わってるし」

あ、いつの間にかまた突っ込んでた。王子突っ込みの才能あるかもな、面倒だからいらないけど。
と、不毛な会話が続く中で飽き始めたベルフェゴールが一つ欠伸を溢したところでがちゃりとドアノブが回る音。次いで開いた扉に目を向けると、瞳に映ったのは閃く銀色。未だぐちぐちと話を続ける馬鹿…間違った、ボスとカエルは全く気付かず。つーか好きなら真っ先に気付けよ、王子みたいにさ。うしし。

「スクアーロおかえりーぃ」

「お゛ぉ…」

あ、機嫌悪い。任務続きだったから仕方ねーかな。
いつも通りの仏頂面、右手で前髪を掻き上げてため息をつくと書類片手につかつかとザンザスの下へ歩いて行く。
だが一方のザンザスは先程と打って変わって鋭い視線をスクアーロへと突き刺した。あれ物理的に質量あったら人殺せるよなきっと。

「ドカス」

「久々に帰ってきた部下にそれかぁ」

「今までどこにいた」

「任務に決まってんだろうが」

「任務にかまけてオレに構わなかったってのか」

「っう゛お゛ぉい!尋常じゃねぇ数の任務と書類をオレに押し付けたのはどこのどいつだ、あ゛ぁ!?」

あーあ、キレちゃったよ。まあアレでキレない方がすげーよな、たぶんボスもそのこと忘れてたし(表情から見るに絶対忘れてる)。スクアーロ御愁傷様。
だがしかし、次にザンザスが放った一言によりその場にいた全員が凍り付いた。特にスクアーロ。

「……寂しかったじゃねぇか」

「…………」

「…………」

「…………」

ぽつりと溢された言葉に返されたのは三つ分の沈黙。と、二つ分のドン引きした視線。

「…悪ぃ」

どう返していいかわからなかったに違いない、ぼそりと一言だけ返して黙り込むスクアーロ。
一方残りの二つ分はというと。

「…センパーイ、ボスさんがキモいですー」

「安心しろよ、オレから見てもキモいから」

ごめんボス、でもやっぱキモいもんはキモい。
椅子に座ったままくるりとスクアーロに背を向けて動かないザンザス。ひたすらに空気が重い。
なんかもう嫌になっちゃったなー、日干しになりたい。フランがぼんやりと暖かな日差しに思いを馳せ始めた頃、小さな舌打ちが沈黙を破った。はっと我に返れば、目に入ったのは肩にかけていたコートを羽織り直し開きっぱなしの扉に手をかけようとするスクアーロ隊長。

「おら、さっさと行くぞぉ」

「…どこにだ?」

「帰ったらどっか連れてけっつったのはてめぇだろうがぁあ!!」

「……カス……」

ちょっとなんですかー、『覚えてたのか…』的な感動してるっぽいその視線。マジで腹立つんですがー。しかもひしっと隊長に抱き付きやがってますー、カエルの恨み舐めんなよー。

「センパーイ」

「ししっ、王子もおんなじこと考えてる」

「奇遇ですねー、じゃあ今回だけ組んでみますー?」

ボスさんを潰すまで。
最後にそう付け足したらいい笑顔で返してくれましたー、先輩もいいとこあるじゃないですかー。
部屋を出て行く二人を見送った後、先輩と作戦会議。

「やっぱ部屋に仕掛けるのが確実じゃないですかねー」

「入り口にバナナの皮捨てとくとか?」

「甘いですよベル先輩、ミーならゴッキーくらい放ちます」

「うっわ、お前鬼畜…」

後日、ザンザスの自室からこの世のものとは思えない絶叫が響き渡ったのはまた別の話。





fin.





ボスさんがおかしくなったようです←
反省はしている、後悔はしていない
スクザンスクはギャグが好きです。あほなボスさんが愛しくて堪りません。そしてカエルさんが黒い。腹黒ガエル。
しかし私が書くボスさんはなんとも残念です、本当にry
むしろギャグしか書けない気がする…

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