purple days
1
セミの鳴き声が聞こえる。
鬱陶しく感じながらも私は耳を澄ませる。
そんなセミの鳴き声の中聞こえてくるのは、体育館の床を跳ねるバスケットボールの音。バッシュならではキュッとした音。運動しているからこその息の上がる音。掛け声。ボールがゴールに入る時の音。
私はこの音たちが好きだ。
この音を聞く度に青春だななんていつも考えてしまう。別に意味なんてない。
今は7月の半ば。私がマネージャーを始めてから約3ヶ月経っている。時の流れは早いなんて考えながら洗濯した部員たちのシャツなどを干していく。風はあまり吹いていないので干したシャツがたなびくなんて事はない。額の汗を拭い体育館へと戻る。
部員たちはこんな暑い中、先程からずっと休憩せずに練習を続けている。時計を何気なく見てみる。そろそろ、休憩の時間だ。
監督の声と共に、皆休憩を始める。私は皆に何かをするというわけではなく真っ直ぐと監督…雅子ちゃんの下へと歩いていく。
「あぁ、姫路。洗濯済まないな。いつも助かっている」
「いえ、私に出来ることはそれくらいですから…」
はっきり言って、マネージャーの仕事を未だに把握できていない。しばらく、この陽泉高校にはマネージャーはおらず周りの皆も仕事については全く理解出来ていないので、とりあえず自分の出来ることをするという形で今までやってきたのだ。
最近になってようやく、マネージャーの仕事について深く考え始めてネットなどで調べているが中々実行に移すことはできない。というより、皆はそのままでいいと私に言ってくれる。
そのままとはなんだろうか…?
そんな疑問を抱えながら、毎日を過ごしていく。そろそろ、自分からアクションを起こさなくてはならないな…
そんな中、日常は変わる。
雅子ちゃんから聞いたアメリカから来ることになった帰国子女の話。なんと、バスケ部に入るらしいのだ。あのアメリカから来るということは、私の予想だとかなりの実力を持っているのではないかと考えている。一体どんな人なのか興味が湧いてきた。
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