狂愛症候群
異変
あの後、私達は商店街を適当に歩いた。
そして、帰りは夏輝くんにマンションの前まで送ってもらった。
別れ際に、夏輝くんは持っていた大きな花束を私に渡してくれた。
花に興味のない私だけど、夏輝くんがくれた花束はとても綺麗で惹かれるものを感じたし、素直に受け取った。
時間は少し経って、日は落ちて夜になった。
貰った花束をどうすれば良いか分からなかった私は、テーブルの上にとりあえず置いておいた。
そろそろ、一緒に暮らしている姉が帰ってくる頃だから姉に聞いてみよう。
そんな事を考えていると、ドアの鍵が開く音がした。
私は慌てて玄関に向かった。
「おかえりなさい。」
ドアを開けて入ってきたのは、唯佳こと私の姉と珍しく男性だった。
「ただいま。」
私の声を聞いて、品のある笑顔で姉は言った。
一緒に入ってきた男性も、私と姉の顔を交互に見てニコニコ笑っていた。
長いブロンドの髪に、異国のオーラを纏った背の高い男性…。
「あ…、響さん!!」
少しして、彼が誰なのかを思い出す。
姉の婚約者の響さんだった。
「久し振り!!恵ちゃん、大人っぽくなったね!!」
白くて綺麗な手で私の頭を撫でながら、人懐っこい笑みを浮かべて響さんは言う。
彼と会うのは、かなり久し振りだったので嬉しさのあまり私も微笑み
「ありがとうございます。」
ぺこりと頭を下げて、素直にお礼の言葉を言った。
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