狂愛症候群
4.
「…そういえば、部員は増えた?」
少し秋人くんと話して、私は気になっていた話を持ち出してみた。
「はい、一人だけですが後輩が出来ましたよ。」
少し秋人くんの表情が、柔らかくなった気がする。
きっと、良い後輩なのだろう。
「男の子?」
「いいえ、女の子ですよ。」
私の言葉に首をゆっくりと横に振った。
「…そっか、その子と頑張ってね。文化祭には、展示見に行くから。」
柔らかい表情の彼を見たからか、私も自然と顔が綻んでしまった…と思う。
この後、私は1本の絵筆と絵の具を買った。
買った物を鞄に入れて、待っていてくれた秋人くんと外に出る。
外に出ると、日の位置が高くなったからか先程よりも暑かった。
陽炎が見えた気がした。
そんな暑い日差しの中、大きな花束を持った夏輝くんがいた。
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