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狂愛症候群
3.

「お久し振りです、恵先輩。」

振り返ると、肩を叩いた本人がそう言った。
心地よい声音に、周りの女子が形容すると天使と呼ばれるだろう容姿。

「…秋人くん。」

私は、彼の名前を無意識にポツリと言っていた。

「覚えていてくれたんですね。…てっきり、忘れられているものだと思ってました。」

彼は安心したように微笑むと、少しおどけたように言った。

なんだか、夏輝くんに似ているものを感じてしまい私は彼の顔をまじまじと見てしまった。

「…どうかしましたか?」

私が何も返事をせずに、彼の顔を見ている訳だから不思議そうな顔をして彼は言った。

「別に何でもない。」

首を何度も横に振った。

「…忘れる訳ないよ。数少ない、高校の部活の後輩だしね。」

秋人くんは2つ年下の美術部の後輩。
今、私は大学1年生だから彼は高校2年生という事になる。

当時の私には、後輩が何人かいたけど秋人くんを除く全ての現2年生は辞めてしまったらしい。

ちなみに、現3年生で美術部の人は元からいない。

現2年生の元部員の子は、ほとんど秋人くん狙いだったらしいので最終的に音をあげて辞めてしまうのも仕方のない話だと思う。


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あきゅろす。
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